2021年2月から、わたしは念願の同棲を始める。これは2019年の年末から、ずっとしたかったことだ。去年はコロナ禍のせいもあり、叶わなかった。それがやっと、今年になって実現しようとしている。

うまくひとりで生活できたのは、大学生活も終わりの半年ほど

 大学時代からのわたしの目標は、実家から独立するということだった。他のエッセイでも触れたことがあるが、わたしの家庭は少し複雑だった。宗教熱心な両親と母方の親族……。わたしに包丁を向けるなど、悪ふざけで度のすぎたことをよくする祖父……。優しいけれど、新興宗教を信じている祖母……。わたしとは全く性格の違う妹や弟は、美的センスやコミュニケーション能力などわたしよりも秀でているところがたくさんあり、心のどこかで嫉妬することが多かった。誰も100%悪い人たちではない。ただ、わたしが生きづらさを感じていた。中学高校と不登校だった子供の頃から、わたしは家にいるしかなかったが、家はあまり安心できる居場所ではなかった。傷つけ、傷つけられ、幼い頃から宗教に植えつけられた罪悪感に苛まれ、希死念慮に襲われる日々。わたしは早く自立したかった。
 わたしは大学時代に数年間ひとり暮らしを経験したが、持病の双極性障害で何度か生活が破綻した。そのたびに両親がわたしを見舞いに来て、荒れ果てた部屋を綺麗に掃除して、わたしの健康などを祈って帰っていった。それが余計にストレスになって、過食嘔吐することもあった。何回も自宅で数ヶ月療養したこともあるし、1年間休学したこともある。うまくひとりで生活できたのは、大学生活も終わりの半年ほどしかない気がする。

家族のことで悩むことは減った。相手の毒気が抜けた気がする

 そんなわたしだけれど、2019年の年末に、彼と出会って、彼の提案によって、ただの夢だったことが現実味を持ってきた。本当は今すぐにでも同棲を始めたいと思っていた。
 2020年の春、大学を卒業したわたしは、準備不足で結果的に実家に戻ることになった。祖父は数年前に亡くなっているが、かつて家は嫌な場所だったので、実家で暮らすことはものすごく怖かった。また、実家があるのはひどく田舎なので、運転免許がないと職場に通うこともできない。しかも、わたしは医師からペーパードライバーにしかなれないだろうと言われているため、運転免許が取れない。無職になるのもひどく怖いことだった。
 けれど、実際に1年近く実家で暮らしてみて、今までとは違うと感じた。最近、引っ越しの準備をしていたら、「無理だと思ったら逃げる!」と書いてあるメモが出てきた。実家に帰る前に書いたメモだった。今回も苦しくてつらいことは何度もあったが、無理だと思ったことは不思議となかったような気がする。依然コロナ禍には翻弄されているが、家族のことで悩むことは減った。相手の毒気が抜けた気がするのだ。それは、2018年からにわたる何回かの話し合いの成果だったのかもしれない。

大きな目標は同棲を楽しむこと。ふたりで心地いい日々を重ねたい

 引っ越しの日はもうすぐに迫っている。あと、1ヶ月と少しだ。わたしは、今は準備に追われている。
 2021年2月、わたしは同棲する。大好きな彼と一緒に暮らすことがとても楽しみだ。今からドキドキわくわくする。ふたりで心地いい日々を重ねていきたい。
 次の目標は就活だ。運転免許がなくても就ける仕事に就きたい。そのためには、どんな努力もするつもりだ。就業研究や面接の練習、履歴書の書き方など、覚えることがいっぱいあるが、焦らず1歩ずつ進んでいく。最終的には、私も自分の生活費を払えるようになりたい。
 もちろんダイエットも続けていく。今年に入ってから、筋トレやウォーキングに積極的に取り組んでいる。
 長々と書いたが、大きな目標はひとつ。同棲を楽しむこと。これに尽きるような気がしている。わたしは他人同士で一緒に暮らしたことがないので、うまくいくか少し不安な部分もあるけれど、「大丈夫」とか「なんとかなる」を秘密の呪文にして、乗り切りたい。「いってらっしゃい」とか「かえりました」とかが言える、もっと安心できる場所にしてみせる。