例年以上にどんなことが待ち受けているか想像もつかない2021年。30歳になるこの年に、私には決着をつけたい想いがある。一人で悶々としていても仕方がないので、ここに宣言する。
失恋したというのに、いまだに引きずっているこの感情に決着をつけたい。
好きになった上司の異動。本人の前でボロボロ泣いた
新型コロナウイルス感染症が猛威を振るった2020年、私は恋の病に取りつかれていた。
相手は十歳以上年上の直属の上司(独身)だった。4年近く同じ部署で勤務していた。頼りがいがあるタイプではなかったが、親身に話を聞いてくれるところに惹かれていった。月並みな話だ。
緊急事態宣言が発令されてからも、休業の話もテレワークの話も上がらず、それ以前と変わらず職場で顔を合わせる日々が続いた。
しかし、新型コロナウイルス感染症の影響を受けてか、人事異動により上司が別の部署で勤務することとなった。異動といっても、勤務地は変わらず、せいぜいフロアが変わるくらいなものだったが、最後の日は本人の前でボロボロ泣いてしまった。
異動直後も、引継ぎの関係で資料に残された上司の筆跡を見かけては涙をこらえ、電話口で上司の声を聞いては涙声にならないように耐えた。仕事終わりの帰り道は人通りが少ないこと、マスクを着けていることをいいことに、毎日馬鹿みたいに泣いた。
異動によって忘れられたくなかった。思い切って告白することに
いい年して恥ずかしい話だが、こんなに惹かれた人に出会ったのは初めてだったかもしれない。4年の月日は長く、人となりやプライベートのことも何となく把握することができた。価値観や考えが似ていたところ、決して激昂した様を見せなかったところ、尊敬、敬愛だけで片付けられない感情だと分かっていた。ただ、想いを告げるつもりはなかった。近くで仕事ができる環境に満足していたのかもしれない。
その考えは、上司の異動により大きく揺らいだ。
今までは、私が直属の部下だったから面倒を見てくれた。でも、部署が変わればただの一社員になってしまう。どうでもいい存在になってしまうのではないか。
そう考えるだけでも、悲しくなった。忘れられたくなかった。それと同時に、私自身のこの気持ちを何とかしたかった。私のこの気持ちを知る職場の人に相談した。その人の前では、しばらくの間泣きべそを晒すことも多く、酷く面倒くさい存在だったと思う。
その人に「そこまで思いつめるなら相手に想いを伝えた方がいい」と背中を押されたというのもあるが、私自身本当は想い続ける日々に疲れていたのかもしれない。
結婚願望がそこまであるわけでもないが、30歳が眼前に迫っている以上、見込みがない恋をいつまでも追いかけるべきではないと思ったのだ。
職場の人の協力もあり、私は自分の気持ちを上司に伝えることにした。直接伝える勇気がなく、LINEでの告白をした。
失恋は私の中では予定調和だったのだ
結果から言えば、冒頭に書いたように振られてしまった。
「そういう対象として君を見ることはできない」
「自分の振る舞いが勘違いさせてしまったのなら申し訳ない」
と、上司に気を使わせてしまった。失恋のショックもあったが、最後まで迷惑をかけて上司に酷いことをしたと、しばらく涙が止まらなかった。
この後、私が予想していなかったことが起こる。
失恋は私の中では予定調和だったのだ。4年近く一緒にいれば、相手が自分のことをどう思っているのか何となくわかる。そういう対象として見られていないことはわかりきっていた。だから、サクッと振られてサクッと新しい相手を見つけようと考えていたのだ。
しかし、振られてからも、上司に会うと「やっぱり好きだなあ」と諦められない自分がいるのだ。上司の態度は、告白前と一切変わらない。気心の知れた軽口を言い合う関係が続いている。
想いを断ち切ると言ってもタイミングが悪く、コロナ禍ではなかなか婚活に勤しむことが難しい。マッチングアプリに登録もしたが、しばらくログインしていない。
登録したばかりの頃は、何人かとやり取りをしたが、どうしてもあの人を思い出してしまう。4年の片想いというのは、想像していたよりも私の心の深い部分に根付いていたようだ。
このまま、時間をかけて忘れていくのか。それとももっと自分自身を磨き上げて、あの人に振り向いてもらえるようにするのか。
とりあえず、今年のバレンタインをどうするか考えるところから始めようと思っている。