私、好きじゃない人とキスしたくないんです。
ワンナイト人数10名、少~~し夜のお仕事に足を突っ込んだ私だけど、キスするのだけは苦痛だった。
飲んでそういう雰囲気になった時、お仕事に向かっている時、キスするのが憂鬱で、無意識に眉間に深いしわを寄せてしまうくらい、無意識に握りこぶしを作って短い爪を掌に食い込ませているくらい、時には自分でも気付かす涙が出てくるくらい、嫌。
だけど、それ以外の行為は可能だ。
一連のオープニングとしてのキスが毎回毎回苦痛で、早く終わってほしい、って願うことしかできない。ひたすらどこかに祈りを捧げる。念じる。
そして、ロボットになったつもりで感情と心の機能を停止させる。
オープニングが終わっていざ始まった行為の間、キスされた瞬間、逃げ出したくなる。
心の底から内臓の底から嫌な気持ちになる。
早急に自分をロボットに戻して、耐える。そして再び、願い、祈り、念じる。
口を自分の腕で覆いたい。相手を押しのけたい。帰りたい。自分の唇、取ってしまいたい。
酔っ払って無防備になってしまって拒まなかったこと、夜のお仕事を始めたことを激しく後悔する瞬間だ。
我慢の限界を迎えたら、バレないように、さりげなく、そっと顔を背ける。
ワンナイトも夜のお仕事も、キスがどうしても耐えられなかった
これまで訳あって夜の職業を4種類かじったけど、辞めた理由は“私は好きじゃない人とキスが出来ない”から。
どうしてだろう。
私は潔癖症じゃないし、気持ち悪いとか抵抗あるとかはない。
お互い好きじゃないならキスなんてしなくていいと思うんだけどな。
セフレの1人や2人くらいいいと思うんだけど、キスしたくないから候補になってしまった人のLINEはブロックしてきた。
それ以外の行為は問題ないんだけど、本当に本当に本当にキスだけはやめてほしい。
キスなしを受け入れてくれるセフレやお客さんはいたんだろうか。
そもそもどうしてキスしなきゃいけないんだろう?
そもそも、キスって何ですか?
何の目的があるんですか?
何かいいことあるんですか?
キスの起源や歴史はどんなものですか?
どうしてこんなに毛嫌いするのか、自分でも正直わからない。
”あ、ワンナイトも夜のお仕事も、キスがどうしても耐えられなかったんだ”、っていう思いに気づけたのが最近のことで。
私なりに考察して論じたいんだけど、本当にまとまらない。わからない。
無償の愛を注いでもらったことで私は純粋なところがあるのかも
ひとつわかるのは、私は少し保守的で純粋なところがあること。
両親にも祖父母にもものすごく可愛がられて育った私なのに、あの世代が嫌がるようなことをしてしまったことを思うと、自分のこれまでの行動にはキスがどうしたとか関係なく、嫌気がさす。
私自身は、起きてしまったことはしょうがないと割り切るタイプで、世間的に受け入れられがたい人数のワンナイトの人数も、世間的に受け入れてもらえない経歴も、最近ようやくしょうがないことだ、って消化した。
でもやっぱり、溢れんばかりの無償の愛を注いでもらったことで私は純粋なところがあるのかもしれない。正直、受け入れられていないのかもしれない。
そうか、私は可愛がられて育った女性として、まっすぐな、世間的に可愛がられる女性でいたいのかも。
私は今も信じているのかもしれない。真実の愛のキスを
今でも純粋だっていう事実に基づいたうえで申し上げますと、実は私は運命の人と巡り合えることに、ロマンチックな王子様に、真実の愛のキスに、23歳の今でも憧れ続けています。
純粋だった私は、プリンセスのストーリーを真に受けて、私も将来はプリンセスになりたいと思っていたことを思い出した。
もしかしたら、私は今も信じているのかもしれない。
運命の人を。私の王子様を。そして、真実の愛のキスを。
プリンセスからしたら、キスは、遊びじゃないもん。好きな人とのためにあるものだから。
そうか。そういうことか。
プリンセスの世界、プリンセスたちのハッピーエンドに憧れる私は、セフレや夜の世界には向いていないタイプだったのかもしれない。
キスに対する罪悪感を論じるには充分な参考文献になるね、これは。
憧れを儚いワンナイトや体力勝負のお仕事で使うのはきっと誰だって嫌だよね。
ものすごく愛されてまっすぐに育った私の感性、結構子供っぽいな。
私、“子供っぽい”感覚はもしかしたら忘れていないのかも
キスだけじゃなくて、さぼったり、ズルしたり、嘘ついたり、理不尽なことに人一倍敏感だったのは、もしかして、私、まっすぐ育ててもらったから…?
何でも真に受けて、忖度できなくて、ちょっとした悪にも耐えられないのって、もしかして、まっすぐ育てられたおかげ…?
子供らしさを忘れずに、とか、純粋無垢な子供、とか、純粋だったのにオトナになるにつれてだんだん腹黒くなりながら色々学んでいく、とか言うけど、私、その“子供っぽい”感覚、実は今でもあんまり忘れてないんです。
この感覚って、ズルいこと、嘘、妬みからどうしてもどうしてもどうしても離れて、きちんとまっとうに生きていきたいと思う私には必要な要素なのかもしれない。
色々あった私だけど、きっと根は純粋な女の子
私は、ワンナイト10名ですが、好きじゃない人と、キス”は”できません。
なぜなら、小さい頃、複数のプリンセスのDVDで観た、”王子様”と“真実の愛のキス”を探しているからです。
それから、悪いことも、嫌です。
色々やっちゃった私だけど、きっと根は純粋な女の子なのかもしれません。
そんな感性を持つ私を守る義務があるのかもしれません。