私たちの関係は元カレと元カノ。
別れてから4年、私たちは年に一度ほど、会っていた。
お互いに今恋人がいるのかどうかは聞かないのが暗黙の了解。
なんとなくご飯を食べ、なんとなく家へ行き、なんとなく添い寝をしてキスをする関係。その度に付き合っていたあの頃を思い出す。
4年前の大学3年生の夏、私たちは3ヶ月だけ付き合った。別れの理由は彼に振られたから。自由で女性経験の無い彼にとって私という彼女の存在は想像よりも重かったらしい。彼女よりも趣味を優先したい彼。彼氏と恋人らしいことをしたい私。お互いの思いが交わらず別れを告げられた。
別れてから長いこと私は彼を忘れられず、他の人と恋愛をしても、遊んでも結局私にはあの人しかいない、ずっとそう思ってた。
だが数年が経ち、社会人3年目になった私はすっかり大人になり、仕事に没頭しよう、もう恋愛なんかしないようにしようと思うようになった。彼の存在も全く頭から無くなっていた。
キスをするかしないか微妙な距離を保ちながら眠りに落ちる
そんな風に思ってたある日、突然LINEが鳴った。何年も想い続けていた彼。
最後に会ってから2年が経った彼もすっかり社会に揉まれ、良くも悪くも大人になっていた。
例によってご飯を食べ、自然に私の家に一緒に帰りテレビを見てお風呂に入る。
気を遣ったのか、私はベッド、彼はこたつで寝ようとしていた。しばらくしてから寒いと言ってベッドに入ってくる。懐かしく、優しい彼の温もり。筋肉質でゴツゴツとしている身体が優しく私を後ろから包み込む。
キスをするかしないか微妙な距離を保ちつつ私たちは彼氏彼女ではない関係のまま眠りに落ちる。
普段他人がいると眠れない私が唯一心地よく眠ることができるのが彼でありすやすやと眠る私。ふと目が覚めると長い時間腕枕をし、私の頭を撫で、時折、眠るふりをしている私にキスをする彼。
どうして私たちは交わらなかったのだろう。感情が整理されないまま
君から振ったくせに。ずるい。今更、逃した魚はでかかったなんて思っても無駄なんだから、などと考えながら、胸が苦しくなり涙が出そうになる。
どうして私たちは交わらなかったのだろう。あんなに大好きで、この人と結婚したい、ずっと一緒にいたいと思ったのに。こんなに、居心地も良くて、笑いのツボも一緒。心から安らげるのに。
まさに、フォルダ別保存の男と、上書き保存の女。これを体現しているかのような2人。
すごく安心するけど、私の中で恋愛での好きという気持ちがもう戻ってこない。戻ってこないことが悲しい。自分の中の感情が整理されないまままた夜が明けていく。
そして朝になり、私たちは元カレと元カノのまま日常に戻っていく。
また会おう、運命ならまた会える、また交わることができると信じて。