選んだアルバイト先は、「bean to bar」のお店だった
私は大学生なので、バイトのお話です。
私のアルバイト先は、チョコレート屋さんです。
選んだ理由は、フェアトレードのカカオ豆を使ったbean to barの商品を扱うお店だからです。
フェアトレードとは、カカオの農家さんからきちんと適正価格で買うことです。
弱肉強食の資本主義下での取引で、いくら手をかけて育てても、高級なカカオ豆でも、フェアな価格で買い取ってもらえていないのが現状。いわゆる"先進国"が自分たちの利益のために、ものすごく安く購入している現実があるんです。
フェアトレードのドキュメンタリー映画を観て、カカオやコーヒーの裏側を知って苦しくなって、どうにかしたいと思っていました。
そして、たまたまフェアトレードの問題に取り組んでいる方と知り合い、フェアトレードのカカオでのbean to bar流のチョコレート作りを体験しました。
bean to barとは、カカオを買うところから、チョコレートとして店頭に並べるまでを一つの会社やお店が行うことです。
bean to barの何がいいかって、とにかくおいしいこと。
アフリカ、中南米、アジアからやってきたカカオ豆を、ショコラティエさんが状態を見て丁寧に観察して、その時その時の豆の状態をしっかり把握してから商品を考えて、一番カカオの個性を活かせる出る形で販売する。
だから、本当においしい。
作ったチョコレートのおいしさは、格別でした。
自分で手間をかけて作ったという事実はもちろん、このカカオがはるか遠くの誰かが育ててくれて、日本にいる私たちとつながっていることに感動して、心が温まりました。
三口程度だったけれど、忘れられない食感と味と香りでした。
たかがアルバイト。でも、会社と農家さんを本気で大切にしたい
チョコレート作りの後、オススメのbean to barのお店を教えてもらって、翌日実際に行って私の人生のターニングポイントになった国のチョコレートを食べてみました。
そのお店はどんなコンセプトで、どんな国と取引していて、どんなものを作っているのか知りたくてお店のHPを見てみたら、なんとバイトを募集中。
文字通り、見つけたその瞬間に応募しました。
会社の理念も、会社からの社員への思いも、社会貢献活動も本当に魅力的でした。
食べておいしかったから衝動的に応募したように思われるけれど、この会社にジョインして、私の出来ることで貢献したいと強く思ったんです。
採用が決まった時は本当に嬉しかったです。
卒業まで半年を切った私の第一優先はバイトになりました。
デートやお出かけや家でのじぶん時間はその後のこと。
コロナの関係でシフトをカットされる時もあるけれど、かまわない。
だって、私のバイト代やシフトはそこまで重要じゃないから。
大切なのは、会社。そして、農家さん。
農家さんが暑い中一生懸命育ててくれたカカオを、会社の方がおいしい形にして、店頭に届けてくれるから。
そのおかげで私はアルバイトをして、お給料をいただいている。
だから私は使命感を持って週に4回、店頭に立っています。
私が笑顔で接客すれば、また来てくれるお客さんがいるかもしれない。
商品を魅力的に伝えられれば、たくさん買ってもらえるかもしれない。
来てくれたお客さんが誰かにオススメしてくれて、他のお客さんが来てくれるかもしれない。
そうしたら会社の利益が増えて、もっといろんな商品を作れるかもしれない。
そうしたら、もっと需要が増えるかもしれない。
そうしたら、もっとカカオが必要になるかもしれない。
そうしたら、カカオ農家さんからもっと買えて、そしてその国の人たちがもっといい暮らしをするサポートをできるかもしれない。
だから、私はあの店で一生懸命アルバイトをする。
たかがバイトかもしれない。
でも、会社の理念や取り組みに心から共感しているんです。
マスクをしても笑顔で。国内で“国際協力”をかなえるために
実は私、ぼんやりと、いわゆる“国際協力”をしたいと思って大学に入ったんです。
でも、入学とほぼ同時期に持病が分かって、海外に滞在できなくなって、留学はおろか日本から出ること自体も諦めることになりました。
大学でやりたかったことが出来なくなった私は、自暴自棄になって、やる気を失って、自分に可能性も選択肢も与えなくなりました。
でも卒業間近になってようやく、国内でできる“国際協力”を見つけることができました。
私が国際協力をめざすきっかけになったのは、実は、アフリカの子供の写真。
私にきっかけをくれたアフリカの国々から届くカカオを、笑顔も添えて販売したい。
そうしたら、お客さんも、農家さんたちも、笑顔になれると思うから。
生理で調子が悪くても、持病の検査結果が良くなくても、プライベートでつらいことがあっても、レポートが山積みでも、極寒な店舗である事実も関係ない。
学生生活最後に、アルバイトという形で、微力ながら大学で目標にしていたことを出来ました。
それが、私の働く理由。
カカオ産出国のアフリカ、中南米、アジアの方々みーんな、人種や生活が違くても、私たちと同じ人間です。
こんなおいしい商品を作れるカカオをいつもありがとう。
私が責任をもって、最高の笑顔と声とサービスでエンドユーザー様にお届けしますね。
笑顔が届くように、マスクしているけれどきちんとメイクして、明日もアルバイト頑張ろう。