結婚、どう思う?
10年前の私に問えば、間違いなくこう答えるだろう。
「結婚なんてしたくない。私は一生独身で、その都度自分を愛してくれる人を見つけながら、恋愛だけして生きていたい。」
子供の頃に繰り返された離婚と再婚に辟易し、結婚に希望を持てなくなっていた。
昔、母親は優しく朗らかで、どこか弱々しい感じもあり、何故か子供が2人もいるのにモテていた。最初の離婚は5歳の時。苗字が変わったのは3回、変わらずに父親のような人が家族に増えたのは2回。転校も多く、友達も少なかった。
高校に入ってから私は、アルバイトに明け暮れ学業もそこそこに遊んでばかりいた。進路を決めるのもギリギリだったが、専門学校で国家資格を取ることができた。
男の人が側にいないといられない母を見ていたからか、私は自立できる女になりたかった。誰にも頼らずに自分の力で生計を立て、社会的にも認められる存在になりたかった。男なんて、所詮頼れないんだから。そんな皮肉めいたことを心に秘めながら、恋人は常に欠かすことができない。矛盾した自分がよく分からなかった。
あれだけ否定的だった「結婚」を理由に退職を決めた
最初の職場は肌に合わず、3年働いて転職。新しく入った職場はとてもいいところで、やりがいもあり、地域社会にも密着したまさに理想の職場だった。役職もつき、後輩ができ、楽しくて仕方なかった。私はそこで、先月までの約5年間働き、退職を決めた。
そう、あれほど邪険にしていた結婚により、退職することになったのだ。
相手は少し歳上の背の高い優しい人。付き合って一年、29歳の春にとんとん拍子に進んでいった。
それまでの私は、母が恥ずかしかった。育ててもらった恩はあるけど、男がいないとダメな親を誰かに紹介するのが嫌だった。まともな家庭で育っていない私が恥ずかしかった。
でも彼は、そんな母ごと私を受け入れてくれたのだ。
その時やっと分かった。私は、母が恥ずかしかったから嫌だったのではなく、そんな母でも
私は大好きで、それを誰かに否定されるのが怖かっただけなのだと。
結婚してやっと長過ぎた反抗期から抜けられたような気がした
そしてもう一つ分かったことがある。
自分を認めてくれ、大切にしてくれる人がいると言うことは、何よりも心強いということ。恋人という甘く曖昧な関係ではなく、家族として未来へ進んでいく相手ができるということは、何よりも頼もしいということ。
これから先、ずっと彼と生活ができることが、何よりも愛おしいということ。
彼と結婚して、やっと私は長過ぎた反抗期から抜けられたような気がした。あの頃の自分に、大丈夫、未来にはいいことがあるよ、と言ってあげたい。
結婚、どう思う?
今問われれば、間違いなくこう答える。
人生最大の幸せ!と。