私は母子家庭で育った。
今でもLINEはする本当のパパとは3歳でお別れ。
何回かお父さんというポジションの人がいたことはあるが仲良くなったことはない。
私に一人暮らしをさせて専門学校まで出してくれた母。普通じゃない
物心がついてすぐ夕方まで保育所に預けられて、その後おばあちゃんちに夜まで預けられるコースはほぼ毎日だった。
小学校に上がって、小4の頃、転校を強いられて急に環境が変わったりした。
この、日曜日の夕方のアニメや絵本に出てくるベーシックな家庭像とは少し違う私の家庭。
この、世間の普通じゃない育ちを自ら友達に話すことは今までなかった。
みんなはごく普通の家庭で育ったと思うから。
みんなと違うということは自分の隠さなければいけない弱みだと幼い頃は思っていた。
ここまで聞いたら人の愛情に飢えて道を踏み外してもおかしくない家庭環境だけど、そんなこともなく私に一人暮らしをさせて専門学校まで出してくれた私の母は世間の普通を軽く超えていると思う。
まず母の今の仕事は土木・建築・リフォーム系の職である。
この職は男性が多い職場で、それは私の認識にもあったし、世間の認識にもあると思う。
"普通"男がする仕事ということ。
そんな職場で自営業で自ら頭を下げて営業して現場を取ってきて今の父と何人かの従業員とそれをこなしている。
普通に凄い。これは心から思っている。
朝早いし、力仕事だし、私だったら挫けてしまう。
ずっとこの仕事をしていたわけじゃないけど、どんな職についても母はある程度のお金を稼いでいた。
ドラマとかでよく見るパート掛け持ちして内職もして眠らず働いてボロボロの母親の姿とは縁遠い私の母。
反抗期、最低限の荷物をリュックに詰めて、クローゼットの中へ
小さい頃はよく、少ない休みなのに買い物や遊びに連れていってくれた。
料理も上手で食べたいものを作って食べさせてくれたし、新しいお父さんに暴力を振るわれたりもない。
私という子供がいても自分の欲を満たしながら世間をうまく渡れる凄すぎる女なのだ。
だが、そんな私の反抗期は壮絶なものだった。
めちゃめちゃ喧嘩したし、もう無理!って思って真冬に一階の自分の部屋の窓からスリッパのまま外の雪に飛び込んで家出もしたし、
逆に「二度と帰ってくるな!!」って無理やり家を出されたこともある。
普段からいつ追い出されてもいい様に最低限の荷物をリュックに詰めてクローゼットに入れてたなぁ。
表面上は取り繕ってても母が大変なのはわかってて言葉にできない寂しさや不満が大爆発したのだ。
中学で部活をすぐやめて、校則は守りたくないから髪は染めたしスカートも勝手に切った。
普通を押し付けてくるしつこい先生が嫌になり学校には行かなくなった。
母は私をとくに叱ることはなかったけど私がポロッと死にたいと言ったら死んでみなよって簡単に言って仕事に行った。
本当に死んでやろうと思ったけど母にだけ迷惑がかかるわけじゃなくておばあちゃんや仲のいい人にも迷惑がかかると思うと最後の勇気が出なかった。
その分のやり場のない怒りは高校に進学してやるというやる気に変わった。
高校に進学したけど人は簡単には変われない。
少しゆるくなった縛りすら私は守れなかった。でもそれは私だけじゃなかった。普通じゃない家庭環境の人は結構いた、自分より壮絶な人もいて悪い方に堕ちていく人も沢山いた。
そんな人を見て二年間がんばったけど結局通信制に転校した。でも無事に3年で高校は卒業できた。
世の普通に食らい付いてやった。
3年で高校が終わるなんて誰が決めたんだ。
転校先の通信制では何年もかけて頑張っている人は沢山いたからこう思う。
でも私は10代の狭い価値観と世間の人はこう思うだろうとか、そんなことばっかり考えて行動していた。
自分の母が普通じゃないからこそ自分は普通でいたかったのかもしれない。
でも自己主張はしたい。すっごいめんどくさいけどこれが私の思春期で反抗期だった。
母が当たり前に私にしてくれていた事の、ありがたさがよくわかった
専門学校に進学して一人暮らしすると母が当たり前に私にしてくれていた事のありがたさがよくわかった。
ご飯は食べるだけでよかったのに、買い物して作って片付けて….ここまでが食事。
洗濯は脱いで出したら畳まれて戻ってくるわけない。
全部全部自分一人でやらなきゃいけない。
大変すぎて、他の人の分もあるとって考えると結婚できないんじゃね?って思った。
普通に考えて自分以外の生活費を出すって凄いことだなぁと思う。
そんな母は今の父と別れて今の仕事ももう辞めて新しい仕事をするらしい。
私ももう働けるし、自由で普通じゃない母のことなので心配はしてないけど、本当に行動がパワフルで予測できなくて笑えてくる。
そんな母のことを好きにはなれないけど心から尊敬・感謝している。
そして私は普通に育てられてないからきっと普通じゃない女になると思う。
もう今は嫌な気持ちにならないよ。