東京オリンピックが決まったのは2013年の9月7日だ。
当時ニュースでそれを見ても、まったく実感は湧かなかった。まだ大学生だった私は、そのときの彼氏とLINEで「見に行けたらすごいよね」と会話していた。「東京オリンピックのときまで付き合ってたら、結婚するだろうね」と彼は言ったのだった。
27歳になると、周囲に結婚する人が増える。私は…?
その約1年後に、私たちはお別れした。
あのLINEから6年の月日が経った2019年、私は27歳になった。なんとなく2020年までに結婚したいと思っていた。彼の言葉があったからかもしれない。
27歳になると、周囲に結婚する人が増える。ずっと仲が良かった高校からの友だちが2人、結婚式を挙げた。そして、妹がプロポーズされたと言う。
その点、私は?私は職場の酒癖が悪い男の子を好きになって一喜一憂したり、その後諦めてマッチングアプリを片っ端から試したり。
アプリで会った年上の男性に、「前に付き合ってたのはいつ?どれくらい付き合ってたの?」と聞かれた。直近の恋人は既に2年くらい前で、彼とも4ヶ月ほどで別れていた。
でもそれは良くないイメージを持たれる気がして言えなかった。髭を携えて柔らかく笑う彼は、しつこく食い下がったけれど、笑って誤魔化した。それが良い印象を与えなかったのはわかった。食事のあと、彼に連絡してみたが、返信は来なかった。
「人生はそういうもの」という固定観念に縛られてきただけだった
インスタグラムで、特段仲が良かったわけでもない女の子の結婚式の写真を見た。ウェディングドレス姿で微笑む彼女は、中学生の頃から変わっていなかった。新郎の顔もインスタグラムで何度か見たことが会った。知っている誰かに似ているような気がした。
そしてその写真を見た瞬間に、私は気づいてしまったのだ。「あ、私、別に結婚したくないや」と。
今まで、適齢期になれば誰もが結婚するもの、人生は結婚をして家族を持つもの、両親や周囲もそれを期待している、だから結婚相手を探さないととなんとなく思っていた。
でも、「結婚したい」という理由は、私が結婚したい理由にはならなかったのだ。別に結婚したくない。結婚は目的じゃない。
もしかしたら大好きなパートナーができたら、その人と結婚したいと思うのかもしれない。今まで、「人生はそういうもの」という固定観念に縛られてきただけだったと、27歳になって初めて気づいたのだった。
彼と結婚したいかは正直わからないけど、緊急連絡先にはなりたい
2020年、東京オリンピックはコロナ禍で延期となった。
その中でも友人たちは次々に結婚、出産を経ていた。最愛の妹も、入籍した。28歳の私は、結婚したいわけじゃないと気づいたものの、他人が着実に人生のステップを進めているのを見ていると、自分はこれで大丈夫なんだっけ、と少し不安になる。
そして、私にも恋人ができた。なんでも出来て、頼りになる人。
でも、彼と結婚したいのかと言われたら、正直まだよくわからない。したくないのかと言えばそんなことはない。
確実にわかるのは、彼に何かあったときに、一番に連絡が来る存在になりたいということ。緊急連絡先になりたい。
でも、焦って答えを出す必要はない気がする。オリンピックの年に結婚しなければいけないわけじゃないし、オリンピックは今年も延期になるかもしれないし。