1ヶ月前に結婚した。
夫と初めて二人で飲みに行ったのは去年の冬。まだ雪は降っておらず、薄手のコートを着て出掛けられるくらいの頃だった。2つ下の前職の後輩だった。

一人でタバコを吸って赤ワインを飲んでいる時間が好きだった

それまで半年ほど、恋人がいなかった。自慢ではないが、絶え間なく恋人がいて、いない期間の方が短いくらい。そんなわたしに、半年も恋人がいないことを、友人たちや同僚に心配された。だから、たくさんの人が、男性を紹介してくれたが、誰と会ってもピンと来なかった。お会いした方々には申し訳ないが、正直つまらなかった。馴染みのバーのカウンターで、一人でタバコを吸って赤ワインを飲んでいる時間に勝ることはなかったから。何度か交際を申し込まれたこともあった。付き合いの長い後輩は、とてもいい子だったけど、後輩としか見ることができなかった。取引先の営業の方に一目惚れしたと言われた時は、勘弁してくれよとしか思わなかった。恋愛に興味がなくなっていたし、ほとんど面倒なこととしか思えなくなっていた。

プライドの高いわたしが気がつけば笑われることも怖がらず夢を語った

そんな状態だったので、のちに夫となる男性と飲みに行く約束をした時も、甘い気持ちも期待も一切なかった。なんなら直前まで、どうやって断ろうかと考えていたほどである。断ることの方が面倒だと思った当時のわたし、グッジョブ。
飲み始めてすぐに、とっても気が合う、と感じた。いつの間にか、仕事への思いや将来の夢なんかもベラベラと話していた。プライドの高いわたしは、鼻で笑われることが怖くて、これまで誰にも話してこなかったことだった。彼は常にわたしの話を受け止め、自分に重ねるように話をしてくれた。あっという間に終電の時間になってしまい、名残惜しかった。もっと話していたかった。改札で見送るときには、もう、好きになっていた。あれほどまでに、恋愛なんてもういいと思っていたのに。

「この人と一緒に生きていきたい」、なんて、そんなことさえ思った。

ただ、好き。それがどんなに愛おしく健やかな感情なのかを初めて知った

ありがたいことに、そこからはトントン拍子でことが運んだ。すぐにお付き合いすることになって、2ヶ月後に同棲し、その半年後にプロポーズされた。交際して1年も経たずに、結婚した。

馴染みのバーのカウンターには、二人で座るようになった。一人で考えていたことを、二人で共有することの尊さを知った。夫においしいご飯を食べさせたいから、残業しなくてもいいように仕事をめちゃくちゃがんばるようになった。夫となんでも一緒がよくて、リュック、マフラー、トップス、靴下、ブーツ……お揃いのものばかりになった。どっちが自分の物か見分けるのが大変である。そりゃあ喧嘩もするけど、大体わたしの過剰なヤキモチなので、抱きしめてもらえば解決する。

ただ、好き。それがどんなに愛おしく健やかな感情なのか、27歳で初めて知った。結婚は、一生の好きを約束すること。どんなに年老いても、どんなに夫の腹が出てハゲ散らかしても、手を繋いで街を歩きたい。
とりあえず、朝起きたら隣にイケメンが寝ていることに、はやく慣れたい。