結婚したい。
いや、正確に言えば、結婚「は」したい。

結婚「は」したい。でも、子どもはどうしても欲しくない

25歳、社会人3年目、恋人とは付き合って6年半。
結婚するには絶好のタイミングだ。
「結婚どうするの?」って聞かれたら、「相手のお気持ち次第かな、待ってるとこ」なんて軽く答えるけど、内心穏やかじゃない。

だって、その次に言われることが容易に予想つくから。
「女の子ははやく結婚したいよねー、子ども産むとかあるもんね!」って。

確かに産むのは女性だけどさ、男性側の機能に問題がある場合だってあるのに。
それより嫌なのが、当然子どもは産むよねっていうニュアンスが見てとれること。

わたしは別に、スーパーで泣いている子どもを見て眉を顰めるような子ども嫌いではない。むしろ可愛いなと思うし、微笑んで手を振りさえする。
けれども、自分の子どもとなると話は別だ。自分の子どもは、どうしても欲しくない。
自分の子どもに産まれた子が可哀想だと思うから。

わたしは自分が生まれて良かったと思えない。もし自分の子どもも同じだったら…

わたしは自分が生まれてきてよかったと思えない、根っからのネガティブ人間だ。
楽しいことはまあまああるし、恋人と過ごしているときには生きてて良かったと思うことさえ時々あるけど、親が産んでくれたことに感謝したいとは全く思えない。

そして、こんな自分が子どもを持ったとして、我が子が今の自分と同じような思想を持ったらと思うと堪えられない気持ちになる。

ネガティブなことは他にもたくさん浮かぶ。
障害を持って生まれてきたり、育てていく中で大怪我を負ってしまったりして、不自由な生活をさせてしまったらどうしよう。

ママ友の輪にうまく馴染めなくて可哀想な思いをさせてしまったらどうしよう。
子育てがうまくいかなくて虐待をしてしまったらどうしよう。
反対に、甘やかしすぎて真っ当に育てあげられなかったらどうしよう。
みんな、「産んでみれば案外大丈夫だよ」なんて簡単に言うけれど、そんな無責任なことは、わたしにはできない。

わたしにはできないけれど、子どもを欲しい、産もうと思える人のことは本当に尊敬している。そういう人の価値観を否定したいわけではないのだ。

わたしがこんな思想を持ったのは、出自が悪かったわけではないと思う。かなり恵まれて育った自覚はある。母は専業主婦で、お金のかかる習い事もさせてもらったり、何かの記念日の度に食事に連れて行かれたりして。所謂、健康で文化的なそれなりの幼少期を過ごした。

そんな恵まれた生活でも、それが当たり前だと不平不満は覚えるわけで、父の全国転勤に散々振り回されたこととか、来て欲しかった運動会とかの学校行事に、仕事で一度も来なかったこととか、未だに根に持っている。

産んだら幸せにしなければというプレッシャー。やっぱり子どもは欲しくない。それでも…

かといって、子どもを産んだうえで父と同じくらい稼いで余裕のある生活をさせて、なおかつ専業主婦の母と同じくらい手をかけた育児をするなんて、共働きであってもわたしにはできっこない。年金だってもらえるかわからないし、大人1人生きていくのに必死なのに、子どももなんて厳しすぎる。

とにかく、幸せにする自信がないのだ。
結婚相手は1人の大人だから、相手さえよければ人生に付き合ってもらうことも可能だけど、子どもにそんなことはさせたくない。
きっとわたしは、まだ見ぬ(そして一生見るつもりのない)我が子に対して、幸せにしてやりたいという気持ちが強すぎるあまりに、勝手にプレッシャーを感じて、こんなにもネガティブになるのだと思う。

恋人には、わたしの思想を、わたしの意志が固いことを伝えた。彼がこんなわたしを受け入れてくれるか、正直わからない。
彼と別れて、わたしを受け入れてくれる人と出会えるかもわからない。
それでもわたしは言う。
結婚は、したい。