私が働く理由は、単刀直入に言うと「男に負けたくない!」である。

私の職業はシステムエンジニアだ。業界標準は詳しく知らないが、少なくとも社内での男女比は圧倒的男性に偏っており、女性は社内の5パーセント程度に留まる。片田舎のシステム会社という事もあり、結婚出産で退職した女性の確率はなんと100パーセント。そんな会社で私は、結婚もして出産もして、社内初の産育休を頂いて復職した。

これを読んでくれている皆さんや、これから社内で産育休を取得するかもしれない数少ない女性の後輩には絶対推奨しないが、出産20日前まで働き、産後は娘が10か月になった時点で復職した。
根底には「男には負けたくない」という思いがあったのだ。私より一年後に入社した後輩(全員男)が私が休んでいる間に私より経験を積む、それも私にはしんどかったし、何よりこの業界、何となく男性優位なのである。

口こそ悪いがそれこそクソムカつく思いをして出産まで6年働いた。辞めてく女性たちを何人も見送って、意地でも這い上がってやると何度も泣きながらここまでやってきた、だからこそ辞められないし早く復職したいと思った。

女性の使い方がわからない故の「優しすぎ」がクソムカつく

こんな底意地悪いようなことを書いてはいるものの、「クソムカつく思い」は何も女性だから全く仕事を与えてもらえない、とか酷いことを言われる、とかそういうことではない。むしろ優しすぎるのだ。生ぬるい。「何となく男性優位」という感覚の根っこを説明すると、女性の使い方がわからない、のである。

最近では逃げるは恥だが役に立つ、で星野源さんが演じた津崎平匡。彼もジャンルや分野は違えどシステムエンジニアという役柄だった。正直あんなにシステムエンジニアはキラキラしていない。いや、都会のエンジニアはキラキラしているんだろうか……。話は逸れたが、この業界、平匡さんのようなキラキラは殆ど無いのである。
仕事場は仕様書の山だし、デバッグ地獄、動かなければ残業、不具合があれば即時対応。上げればキリがないが、いわゆる体力仕事なのである。だからこそ、女性に甘い、というか使いどころがわからないのである。

生理痛で休むかも?妊娠で居なくなるかも?そんな考えが根底にあって、大きなプロジェクトを女性になかなか任せてもらえないのである。

元々の性分として、私はかなり負けず嫌いで、男に負けたくないという気概が強かった。この性分は確実に母親から受け継いだもので、彼女は私以上に男らしく、男よりも働き、私が幼少のころからキャリアを築いて今に至る。ありがたい性分だ。そして今思えばなりたくてなったシステムエンジニアだったが、私がこの業界に来たのは必然であるとさえ思うほど、私に向いた職業なのである。

これほどまでに男に負けたくないと思って元気に働けるんだから、むしろいい思いまでさせてもらっているような気さえする。そして、上司たちはまっとうに私を評価してくれているし、後輩たちは私を慕ってくれている……かどうかはわからないが、みんな可愛い。
それでもやはり、どこかに感じる、「2人目を作るのではなかろうか」という上司たちのびくびく。
やはり女性だからとどこか配慮、という聞こえのいい差別をされているような気がする。

何度も心の中で叫んだ「時短は取らねぇ!」

私は、今後増えるであろう女性の後輩にこんな思いをしてほしくないのである。正直、当時の私の産休育休の話もちょっと揉めた。時短がどうとか早退がどうとか、会社的には配慮のつもりだったのだろうが、「時短は取らねえって言ってんだろうが!」と何度も心の中で叫んだ。

なので、私が早く偉くなって、後輩たちの番になったらオジサンたちをねじ伏せて、嫌な思いを一つもさせたくない。男側はどうも思ってないだろうが、私としては男と同じように昇進して、女性が歩ける道を作りたいし、子持ち人妻がシステムエンジニアとして働くためのロールモデルにもなりたい。そして女子の後輩には、生理休暇だってじゃんじゃん取ってくれ、産みたいなら子どもも産んで、幸せに過ごしたうえで仕事に励んでくれ、と言いたい。男も同じだ、育休が取りたいならじゃんじゃん取ってくれ、生理休暇はあげられないけど。ざっくりだが、そんな女になりたくて私は今日も元気に働くのだ。

なお、仕事でストレスがあった時はビールを飲みながら「あ~早く権力が欲しい」と呟くとマシになることに最近気付いたので、併せてオススメすることとする。