「君は結婚できないと思う」
3年前にそう言って別れを申し出元彼は、2年も付き合った私をあっさりと捨てて、別の女性と結婚した。
女性として不完全だから結婚できないのかもしれない
27歳。社会人3年目。結婚の予定はもちろん、彼氏すらできていない。
「君は結婚できないと思う」この言葉は、男性とうまくいかなかった時や、周りの結婚報告を聞く時など、何度も頭をよぎり、呪いのように私につきまとう。
受験や就活を一緒に進んできたはずの友達は、大学時代からの彼氏と結婚したり、会社の先輩と結婚を前提に同棲を始めていた。その場で足踏みをしている私を置いて人生のステップを難なく進んでいく。
周りと同じように進めない私は、結婚が女性としての価値を表すのなら元彼の言葉のように、女性として不完全だから結婚できないのかもしれない。
どうして、男女の関係の主導権は男性にあるのだろう
「男性が結婚したいと思う女性5選」「可愛いと思う女性のLINE」
「家庭的で癒される女性になろう」
メディアは、「こんな女性になりなさい!」と言わんばかりに男性が求める理想の女性像を押し付けてくる。似たような記事を大量にじっくりと読み込む私。それもそれでウケる。
どうして、男女の関係の主導権は男性にあるのだろう。
プロポーズは男性からが理想だとか、結婚したら夫に合わせて転勤するのがいいだとか、収入は男性より低くないとプライドを傷つけるだとか。
理想像のために自分に嘘をついて出来上がる私は、本当の私なのだろうか。
私が、幼いころから憧れる、男にも負けず気高く都会で働く女性の姿は、そうして出来上がった私を許すのだろうか。
私の中のなるべき女性像と、ありたき女性像はこんなに離れているらしい。
母の言葉に少しだけ救われた
今年の年末に、母と二人で食事をした。
「〇さんは二人目が生まれたんやって」「△さん、結婚したん知ってる?」
と私の同級生の話をする母。
25歳で結婚した母は、彼氏がいた学生の時から「早く結婚したらいいやん」と言っていた。
きっと私に早く結婚して欲しいに違いない。
そんな母に嫌気がさした私は、意地悪をする。
「私な、誰とも結婚せえへんと思うねん。」
食事の手を止めて悲しむかもしれない、そんなこと言うなと説教が始まるかもしれない。
そう思っていたけれど、意外にも母は、いつも通りの表情で
「それも、いいんちゃう。」と一言。
古風な母らしからぬ、回答だった。
気が抜けた私は、「そ、そうやんな!」と笑って返した。
母は、頑固な私に何を言っても無駄だと思って言ったのかもしれない。
哀れな私を傷つけまいと出た言葉だったのかもしれない。
なんにせよ、呪いの言葉を放った元彼は一生許さないが、母の言葉に少しだけ救われた気がした。