「結婚したい」「お前を一生のパートナーにしたい」
付き合って3年になろうとする13歳上の彼は、時々そんな言葉を口にする。
真面目な彼が本気でそう思っていることは表情や声音から分かる。だが私はそれにYESとは答えられない。

自分の年齢の若さ故に決断出来ない、というのは一理ある。13歳という年齢差に対して両親や周りがどう思うか気になるのもまた、否定できない。でもそれだけでは理由としてしっくりと来ない。

彼と出会ったのは社会人になってからだ。私は新卒、彼は中途採用で入社した、13歳差の同期。他の同期にはない大人の落ち着きと余裕を持った彼に、仕事や人生について相談しているうちに互いに心を開くようになり、今に至る。

彼は自身の年齢からして、次に付き合う時は結婚を視野にと考えていたそうで、私の人柄を知るうちにビビッときたらしい。
自分よりずっと大人だと思っていた人に好きになってもらえて、真剣に人生のパートナーにしたいと思ってもらえることは、ありがたいことだし嬉しいことだと思う。しかし…

1人が気楽、経験もない私 結婚に向いていない気がする

私は結婚に向いていない気がする。

結婚=同棲だと認識しているが、私は人と一緒に暮らせない気がする。適度に1人の時間が無いと疲れる人間だから。
関係性の近い人に対してほど、私は気を遣う。不快にさせたり悩ませたりしたくないから。いつからか、実家に帰省して家族と数日過ごすのも疲れるようになってしまった。だから、1人暮らしの気楽さを知った私に、もう一度共同生活が出来る気がしない。

性格や生活感の違いも、共同生活が出来る気がしないと考える要因の一つだと言える。
周りから真面目だと言われるところはよく似てるけど、人見知りで無口な私とは対照的に、彼はとにかくよく喋る。付き合う上ではそれは刺激となり楽しいことも多々あるけど、時々、ちょっと疲れてしまうこともある。

生活感の違いでは、ドアを閉めないとか、そういう小さな違いがどこか気になってしまう。
私が性格上、いろんなことに敏感過ぎる、いろんなことを考え過ぎるというのはある。だから違う環境で育ち、年も離れていて、人生経験も全く異なる2人が1つ屋根の下で生活を共にすることを考えると、途方もないように思えてくる。そうして、そんな風に考えてしまう自分は結婚に向いてないのでは、と思えてくる。

いわゆる夫婦の営みというものも、私には出来る気がしない。
彼に求められた事は何度かある。しかし、経験のない私は未知に対する恐怖と痛みが勝ってしまい、未だ行為に至れた事はない。未経験であるが故に仕方ないと、彼は受け入れてくれているけど、本心は抱きたくて仕方ないらしい。好きなのに、そんな彼を受け入れられないことが本当に申し訳なくて泣きそうになる。

結婚したい彼と、答えが出せない私。その結末は

結婚して、子供が出来て、幸せな家庭を築く。彼は純粋にそんな幸せを求めているようだ。
かたや同棲もままなる気がしなくて、妊娠に至るまでも途方もなさそうで、自分の人生もままならないのにこの世に人間を誕生させて人生を担うなんて恐れ多くて出来ないと考えている私は、とてもそんな生活からは程遠い。
もはや結婚は愚か、恋愛も、人生も向いてないのではないかとすら思えてくる。

頭でっかちに考えても仕方ないから、同棲も行為も実際にやってみればいつかは慣れて適合していくのではないか、とも思ってみたりするが、とりあえず一歩進んでみようの一歩がとても重い。

結婚したい彼と、答えが出せない私。
結婚には踏み切れないけど、手放しに独身貴族万歳とも思えない、どっちつかずの境界人。
この結論はどうすれば出るのだろう。