母 「○○はさ、いい男性と出会って幸せな家庭を築いてほしいよ、本当に。もう願うのはそれだけ」
祖母 「結婚する前に同棲しないと嫌だなんて、今の若い人はふしだらって感じがするね。○○ちゃんはそんな風に考えないと思っていたけど…いつからそんなになっちゃったの?」

一人娘で過保護に育てられた私は字の如く箱入り娘になった

我が家は訳あって、数年前に祖父が亡くなって以来女所帯である。一人娘で過保護に育てられた私は字の如く箱入り娘になってしまった。とは言っても残念ながらお嬢たる美貌や最高品質の気立てを有しているというわけでは全くない。私自身「女」というよりも単なるヒトとして生きているという実感が強い。

幼少期においても、周囲が熱中するようなお人形ごっこよりかは手首にバンダナを巻き付けて園庭を駆け回る忍者ごっこの方が好きな質だった。現在に至るまで、身体の性と自認する性はオンナということで一致してはいるが、ごっこ遊びやゲームなどでは大抵男役やボーイッシュな女キャラをしきりに演じたがる性分だった。

正式に付き合ったことはなく、これでも一応焦ってはいる

そんな自分でも人生の節々で都度好きな異性がいることは至極当然のことだった。ただ、気になっている相手に好きだという気持ちを直接伝えたり、正式に付き合ったりしたことは今までに一度もない。笑ってしまうくらい晩熟なのだが、これでも一応焦ってはいる。

20代に突入してから2年弱が経過しているため、友人や知り合いも「お飾りとしての彼氏」ではなく、「将来を共に過ごせる保障のあるパートナー」を真剣に探し始めている印象がある。また、時おり話題に上る初体験の平均年齢。これもとっくに過ぎてしまっているからか、休日に漫画サイトで30代処女が量産型イケメンの部下に処女喪失を頼むうちに本当のカップルになってしまうというストーリー展開の作品を意図的に探し、読後の安心感を求めるようになってしまったが、そんな自分にも嫌気が差す。

親や家族も、私が知人と会うために外出するときは欠かさず「誰とどこでいつ会い、何時頃別れるのか」をチェックするため、とにかく色々と行動に移そうと思っても厳しいのが現状だ。外泊なんぞもってのほかというレベルのお堅さに辟易する。また、女友達と会った日の夕食時には「○○ちゃん彼氏いるの?どうだって?」と無造作な会話が始まる。娘(孫)の心をじわじわ抉っているかもしれないという察知能力に些か欠けるのが女所帯の一つの特色かもしれない。

友人の話をすると、同棲反対派の家族と私との口論がヒートアップする

ある日、とある友人が彼氏と別れたばかりで傷心の身ではあるが、就職後には一人暮らしを始めて自由に生活したいという希望的観測を述べていたことや、別の知り合いが互いに上京の身である彼氏と半同棲しており、結婚も意識していないわけではないと語っていたことを話すと、「え、何あんた」と待ったがかかる。その後、同棲反対派の家族とカラダの相性も含めて相手を見極めるべきではないのかと考える私との口論が急速にヒートアップする。
クリスマスが近いのに平和的でない会話である。

離婚には至っていないものの、同棲経験なしで結婚生活が早期に破綻した過去のある母の言葉は私の身に全く浸透してこない。自分がコンクリートになったような気持ちにすらなる。祖母に至っては、同棲するカップルが皆性欲にまみれている生き物にしか見えないようで、呆れた私は図らずも顔に笑みを浮かべてしまう。

彼氏もいない、しかもできる萌芽すら見当たらないのに同棲からの結婚噺を持ち出すなんてお門違いじゃないのと2人の顔に書いてあるのを見て、親族ながら心底憎い女たちだと思う。心の中で何万回も溜息をつく自分。強行突破する勇気もないのは十分分かっているが、暗雲をどうにか晴らしたいと強く願う毎日だ。

結婚て何だろう、自分はすべきか、したいのか…

先日、部活の先輩だった4歳上の男性が結婚、そして子どもの誕生ととんとん拍子に事が運んでいるのを見聞きし、4年後の自分を想像した。
結婚て何だろう、自分はすべきか、したいのか、そもそも信頼できそうな相手とこれから出会うことができるか、出会ったとしても自分から行動を起こせるか、付き合うって何だ…。
万事順調に進んでいく人生などあり得っこないが、自分にだって理想を口にする権利があるんじゃないかと勝手に自己解決した冬の夜だった。