20代になってから(まぁ当たり前なのかもしれないが、)結婚式へ参加する機会もグッと増える。
長年付き合っていた彼と、職場で出会った年上の彼と、高校時代の先輩と、なんてのもあっただろうか。
初めて行った結婚式の夫婦が数年で離婚してしまったり、職場の上司と不倫中の新婦が、その上司の前で永遠の愛を誓っていたり……あまり知人の結婚に良い思い出がない。
あと、よくある「授かり婚」。
(今どき「できちゃった結婚」なんて言ったら叱られそう。)
授かり婚だなんて聞こえの良いように言っているだけだ、ただ「だらしのない」ことを綺麗に表現して、みっともないとも思ってしまう。
え、私、ひねくれすぎじゃない?
めでたいなら何でもいいじゃん。
ねえ、何でもいいよね。
結婚と妊娠の明確な順番なんて、誰が決めたの?ま、私なら絶対に結婚してから妊娠するけど。絶対に。
「結婚したので」と氏名変更に窓口へ訪れる人がドヤ顔に見えていた
私は、とある地方の金融機関に勤めている。
窓口業務を担当していた頃、名前や登録の印鑑、住所などの変更業務を受け付ける機会がよくあった。
「結婚したので、名前と印鑑と住所を変えたいのですが」
と、持っている通帳と印鑑、変更後の運転免許証をカウンターにズラーっ。
足りないものがないかチェック。
お客さん自身で記入が必要な書類が複数枚になることもあり、デジタル化が遅れている田舎の銀行で、決して簡単に終わる手続きではない。
ふとお客さんのカバンから、ほかの銀行通帳が見えたことがある。
とっさに「手続き、ここだけじゃないですよね。大変ですね。」と話しかけた。
それに対して「本当ですよぉ。朝から市役所行って警察署で免許証変えてもらって、その足でここに来て、もう大忙しです」との返答。
結婚すると本当に大変そうだな、と思ったのと同時に、あれ、でも何だか幸せそうだな?ニコニコしてるな?とも感じていた。
そうだよね。
きっと大好きな彼と結婚するんだもん。
こうやって、一つ一つ変えていくうちに、大好きな彼の「奥さん」になっていく実感が湧くんだろうな。まるで彼の一部になったかのような感覚。
ハッピーな気持ちでいっぱいになってるに違いない。
うっわ、さっきまで手続き大変そうだな~って同情してたけど、急に「私、結婚しました!たったひとりの男の人に選んでもらえましたー!」ってドヤ顔してるように見えてきた。
そもそも「名前と印鑑と住所を変えたいです」だけでいいじゃん。
わざわざ「結婚したので」って言うあたり、やっぱり誇らしげだ。うわー。何なの。
正直に言おう。嫌な感じ……
同じ名字の彼との結婚は楽で助かったけど名前が変わらないのは私の方
……と、つい数年前の私。
いつしか、名字が変わった女性たちを見る度に、そんな気持ちになっていた。
そして、先週。
「結婚、どう思う?」
いわゆる結婚適齢期を迎えた27歳の私の目の前に、ふわふわと漂うようにその言葉は出現した。
今の私に問いかけているの?
エッセイの締切の1月24日、私が入籍する日じゃん。
入籍にあたり、名字や住所、なんなら本籍地はどうするか、ほかの夫婦同様に私たちの目の前にも現れた。
ちょっと特殊な点といえば、同じ名字の彼と結婚をするので、名前が変わらないということ。
これには大変助かった。
交際当初から結婚を想定していた訳では無いが、この人と結婚しても名前が変わらないから気持ちは楽だろうな、とは心のどこかで思っていたのも事実である。
結婚指輪を予約しに行った時、店員のお姉さんにも「おふたりとも名字同じなんですね!彼女さん名前変わらないですねー!」と何気なく言われた。
そうだよね、変わらないのは「彼女さんの方」だよね。
名前は変わらなくても夫の名字になり、本籍地も変わる
婚姻届の「夫の名字、妻の名字」のチェック欄は夫にしたし、本籍地も夫の実家の住所になった。
名前は変わらないけど、確実に私は結婚して夫の名字になるんだな。
本籍地も今までの愛着があった土地じゃなく、住んだことの無い場所の住所になるんだ……
あれ、私が今まで見てきた女性たちも、これ、全員やったの?
思い込んでたより、アイデンティティ失われる感覚が凄くない???
幸せ反面、心のどこかが欠けてしまうような寂しさ。名前、変わらないのに……
「そんなもんだよね」と、思えないあたり、私は「良い妻、良い嫁、将来的に良い母」には、すんなりなれないかもしれない。
こんな考えを持つ女性が私以外にも沢山いるはずだし、目にしてきた。
日本の婚姻制度、確実に変わる局面なんだ、きっと。どうなる将来。
いろんな考えの人が、沢山の選択肢から自分に合った答えを見つけられるような世の中に、もっともっとなりますように!