私は24歳独身女性です。
現在、2年半近くお付き合いしている男性がいます。
私たちは私たちなりに、これまで真剣に、楽しくお付き合いをしてきました。

しかし、これからの関係について悩んでいます。

もし彼との「恋愛」の先に「結婚」がなくてはならないものならば、私にはお別れを切り出したいと思う事情があります。

しかし自分の気持ちに目をそらしたくて、去年から、私の時計の針が止まっていました。

現実では着々と、月日が重なりカレンダーの絵が変わる。
自分の体も誕生日を超えるたび、少しずつより大人になってゆく。

それに心が追いついていきませんでした。

私は昨年の8月下旬、事情があり婦人科の精密検査を受ける機会がありました。
その際に、自分の卵巣機能が弱いことを知らされました。
そしてその症状が、不妊の原因であると言われていることも、分かったんです。

「子どもが欲しい」そう彼が語る将来には私の姿

彼はお付き合いした当初から、将来は自分の子どもが欲しい。できれば娘がいいなぁとニコニコと語っていました。

付き合い当初は、「いい人と結婚できるといいね」とどこか他人事のように流していました。
しかし最近、私の目をみて将来を夢見る彼……。
「これはまずい」
「どうやら彼は、私を結婚相手の候補者にしているらしい!!」
(真面目に付き合ってくれてるんだから、気づくの遅すぎですけど)

いやいや、待とう。いったん落ち着こう。(私の心の声)
私は確かにあなたと一緒にいたいけれども。
あなたの思うような、結婚や将来の子どもは……難しいのではないかな(泣)。

その、これは痛々しい、現実的な話になってしまうのですが……。
私たちはお互いの進路事情からおそらく30代になるまで、経済的な独立ができません。一人で生活できる立場になれないと、結婚は考えられない。彼は以前そう言い、私もまたそう思っています。

しかし悲しいかな、それまでの間に、私の身体は着実に歳をとります。
世間一般の女性の妊娠リミットより、私の場合はリミットを早く考えるべきなのかもしれない。そして治療をするとしても、身体的・経済的な面での負担は、歳を重ねるほど大きくなるのではないかと予想しています。

そこまで考えて、私は苦い思いと共に、ふと考えたんです。
恋愛の延長線上に「結婚」は語られなければいけないのか?

兄のスピード婚で自分の中の「当たり前」が崩れた

身近に、考えさせられる出来事がありました。
先月、4歳年上の兄が入籍したんです。
お付き合いはたった、数カ月の女性と。

私は衝撃を受けました。

話すスピード、テンポ、温度。手を繋いでなくても、二人の間には手を繋いでいるような空気のぬくもりを感じるのです。

結婚はお互いをみることではなく同じ方向を見る事だ、と聞いたことがあります。
まさにそんな人と出会ったように、彼らは穏やかに連れ添っている。
たった数ヶ月のお付き合いでそんな素敵な結婚ができるなんて!

彼らはまるで後ろから幸せへの追い風が吹いているように、短期間で結婚に至り、祝福されている。

一方で、私は苦しい。好きな人と一緒にいられるはずなのに好きな人が好きだと言ってくれる自分の身体が憎く、ただ、未来が怖くて。

なぜ自分は苦しいか。つきつめればそれは彼も私も、「結婚」をゴール(目的地?通過点?)としてお互いを捉え、それが、「誠実な」お付き合いだと信じてきたからです。

けれど『好きな誰かを自分で選び、その人とずっと一緒にいる』という、祖母の時代にはありえなかった、そんな結婚観が、今自分の中では当たり前のように凝り固まっている。
兄の結婚は、その当たり前を揺るがし私の胸の中をざわめかせました。

私はいまとても幸せで、不幸なことに、彼のことを愛しはじめています。
でも……この恋愛の先に、結婚はなくてはならないのか?
私は、彼の夢をかなえられない女性になりたくありません。彼の「結婚相手探し」の貴重な20代の時間を奪いたくもないのです。

それなら、離れるべきなのでしょうか。
そしてそれは……私がいま、彼を愛し彼に愛される権利もないということなのか。

そう悶々とすごしていたある時、電話で彼がこう言ってくれました。
「俺は、(私と)一緒に過ごしてきた時間にはとても価値があると思う。たとえ俺たちの関係が先に繋がっていなくても。
いろんな気持ちを味わえて、自分が大きくなれている気がする。一緒にいられた時間は自分の財産になっている。過去がそうだから、たぶん今も、これからもそうなるんだと思うんだ。」

未来に結婚を選ばなくても、恋愛してもいい

その言葉を聞いて、私の首の紐が緩んだ気がしました。

あぁ、必ずしもこの先の赤い糸が私と彼を「結婚」で結べないとしても、今は今の価値があるのかもしれない。

それなら……隣にいたいだけ、隣にいさせてもらうことはできるだろうか。
彼にも、そうしてもらいたい。
そして、未来は絶対に、幸せになってもらいたい。

今の私は「恋愛」の先に「結婚」はなくてもいいと思っています。
そしてそうだとしても、誰かと「恋愛」する価値はあると信じられるようになりました。

目の前の、誰かを好きで誰かに好きになってもらえる奇跡を、大事にしたい。

現実を踏みしめながら。