こんなダメな私が唯一、一生を誓ったあなただけに残したもの。

私は結婚なんて興味なかった。親は離婚し、バリキャリの母親をかっこいいと思っていた。
男なんていらない、そんな風に周りにキャラ作りをして、結婚はいらない、でもどこか寂しくて、どこかで誰かを愛したくて愛されたい。
そんな歪んだ不安定な思春期を過ごした私。

はたから見れば自立していて、強い意見を持っていて、恋愛相談をされて、恋愛もうまくいっているのだろう、そう思われていた私は本当は弱い。
そんな中で出会った人と、高校生活の3年間遠距離恋愛をした。
誰よりも私を愛していて、誰よりも私を見てくれいたはずなのに、歪んでいた私はそんな彼の気持ちに応えられずに不安定になった。
好きなのに、好きでいられるのが怖い。
そして別れがきた。
自分の決断を後悔した、なんでうまく愛せないのかな、愛されないのかな。

そんな気持ちを抱えた大学生活。
付き合うことが怖くなった私は誰とも付き合えず、ただただいくつかの恋をしては、好きだと伝えられた瞬間拒んでしまった。
キスをしたらゲームオーバー、それは私にとっては終わりを意味した。
愛を受け止められない。そんなものはないのだと思った。

そしてまたバリキャリでかっこいい母親の姿を思い出しては、結婚していなくて自立した女性になりたいと自分磨きをした。
外側ではなく内面から自分を確立させて、強い女性になろう、そう思って過ごした。
男なんかに頼らない、そしてそういう強い女性に男は惚れない。
自分に言い聞かせながら就職先を決め、大学卒業目前。

気づいたら23歳。そんな時に出会った彼の言葉に魂が震えた 

そんな時に1人の男性が現れた。
それまでデートの誘いは断り、好かれることを拒み、距離を置いていた私に、その彼は“お茶しない?”と誘ってきた。
お茶というチョイスが面白かったのと、お酒が入っていないのであればいいかなと時間を過ごした。

歪んだ気持ちの中で、大学生活の中で誰とも付き合っていなかった私は23歳にして男性経験がなかった、つまり夜の方だ。
結婚するつもりもなかった。
心のどこかで、結婚は本当に愛していると思える人とするものであり、世の中のプレッシャーや、人間の興味本位でやるものではない、それよりも私は自分を磨くことに集中したいのだ、と考えていて、気づいたら23歳になっていたのだ。

彼と初めてのデートで彼は”死ぬのであれば人のために死にたい”と言った。
そんな綺麗事、そんなクサい言葉に本気になっている彼が私には魅力的に思えたし、それまで会った人とは違う意味で、その言葉を聞いた時、まるで時間が止まったように魂が震えた。
それは彼も同じで、バリバリ仕事をするつもりで、自分の目指すことに真っ直ぐな私に対して魅力を感じてくれた。
そしてこの人なら、そういう強い気持ちを持ってお付き合いを始めた。

私が求めたのは、心と心、魂と魂が愛し合うこと

それまでの経験を話した時、彼はこういった。
“そんな風に魂レベルで思ってくれるなら、そのまま大事にしよう。そして結婚するときは2人の魂が1つになるとき。”
結婚とはあくまで世の中の風習であり、プレッシャーであり、幸せのステータスであると思っていて、ただの見栄っ張りの形式だと思っていて避けていたけれども、魂と魂がくっつくほど意味のあるものであればそれは言葉に表せないものだと思った。

このご時世に指輪を持ってひざまづいた彼に“はい”という迷いのない言葉を私は伝えることができたし、その大きな決断の瞬間までキスもしていなかった。
身体の関係をなしで心と心、魂と魂が愛し合う、それが本当は自分が求めていたことだったのだと気づいた。そして彼もそれを求めた。

2人が繋がったのは結婚式の夜。付き合ってから1年経った時のこと。
こんなことを話すと驚かれるが、今この時代に、ミレニアル世代で、結婚を一番避け、愛を恐れた私でも、そんな日がやってきた。
心と心がつながること、それが私の中での結婚だ。
もちろんその日まで我慢をし、一生を誓った彼は今でも毎日私を世界一として愛してくれている。
彼の中では、そうすることが、あなたを誰よりも愛していて、一番大事にしている、世の中の基準や世の中での当たり前を超えた形にしたい、という気持ちを伝える方法だったという。

そして5年、私は管理職まで出世し、彼は会社をいくつも経営している。
私が私のままでいて、私の目指すものは彼の目指すもの、彼の見るものは私も見るもの。
2人が1つ、魂が1つ、それは私たちの日々を指しているのかもしれない。