そろそろ結婚して1年がたつ。
友達に「結婚ってどう?」と聞かれたときは、「結婚して自由になったと思う」と答えているけれど、結婚当初は周りの反応にもやもやしっぱなしだった。

結婚して「幸せになって」に感じた違和感 結婚前も幸せだったのに

特にもやもやしたのは、結婚報告をすると決まって「幸せになってね」と言われることだった。当時の日記を読み返すと、こんなことが書いてある。

「結婚することで『幸せであること』を強要される感じが、重くてストレス。私は別に今でも幸せだし楽しく生きているのに。」

私はこれまで27年間幸せに楽しく生きてきたにも関わらず、その人生を否定される感じがして、いまいちありがたく受け取れなかったのだ。言っている側には悪気はないのはわかっている、だが納得がいかなかった。

なんでこんなにも結婚と幸せって直結して考えられているんだろう。

結婚したらおうちでご飯を作って待ってるの?

他にも、巷に蔓延している夫婦のステレオタイプにももやもやした。
私たちは社内婚だったが、結婚報告の際に夫は周りから「おうちでご飯を作って待っててくれる人ができて良かったね」と言われまくっていた。一方で私に同じことを言った人は一人も、本当に一人もいなかった。
これにはさすがに夫も驚いていた。当時は私の仕事が忙しく帰りも遅かったため、基本的に夫が夜ご飯を準備していたからだ。
私も夫と同じ総合職であること、また私が夫よりも忙しかったことを知っている人たちがなぜ、「妻の方が早く帰って、夫のために健康的な夕食を作り、夫の帰りを待っている」ようなステレオタイプな妻像を想像したのだろうか。たかが高度成長期から一般的になった専業主婦が、こんなにも定着しているとは。

モヤモヤが止まらなかった私は、言われるたびに「30歳なんだから自分のことは自分で責任持ってほしいですよね」と言い返していた。泣き寝入りしなかったことは、今でも正しかったと思う。(だいたい「そりゃそうだよね」と苦笑いされたけれど)

それでも、結婚は私を自由にしてくれた

一方で、私と夫の関係だけにフォーカスすれば、結婚は私を自由にしてくれたな、と思う。

私の父は学校の先生で、母は専業主婦。私は一人っ子だった。一人っ子というとわがままだとか、我が強いとか言われることがあるが、私の持論だと、一人っ子には2種類いる。
自分の世界を持ちのびのびと自由に育ったタイプと、小さい時から大人に囲まれるがゆえに周りの期待に敏感に反応し、真面目ちゃんになるタイプ。私は後者だ。

その特性は大人になっても効力を発揮していて、「周りから好かれたい、必要とされたい」という気持ちが暴走気味だったと、今では思う。特に社会に出ると年齢と性別で区別されることが多くなり、「20代女子」として飲み会で積極的にお酌したりおじさんの喜びそうなことを言ってあげたりしていた。その一方で、男性に仕事をお願いしにくく、ちょっとした生きづらさを感じていた。
「人に好かれるためには20代女子はこうあるべき」みたいな呪いに、自ら縛られていたように思う。

だから、そんな私にとって結婚は転機だった。
結婚した相手は何度も「あなたはあなたのままでいい、無理しなくていい」と言ってくれた。絶対的な味方ができ、周りに好かれなくてはいけない、と無理をする必要がなくなった。

仕事ではチームのことを考えて立ち回れるようになった

するとどうだろう。仕事では、自分がどう思われるかよりもチームのことを考えて立ち回れるようになった(今まで自分第一だったことの方が問題だけれど、私にとってはそれほど根深い問題だったのだ)。周りからどう思われるか不安で隠していた女性アイドルの趣味も、オープンにできるようになった。おじさんたちにも無理に媚を売らなくなった。
自分に正直になれる場面が増えたんだな、と気が付いて「結婚して、自由になったな」と思った。

だから私にとって結婚は、知らず知らずの間に呪われていた「女はこうあるべき」という重りから、自分を自由にしてくれたものなんだと思う。

私はこれからも結婚前と同じように、幸せに楽しく、私の人生を生きていきたい。