2020年2月、大学時代に出会った彼と約6年の交際を経て、夫と私は結婚した。プロポーズされる前、もういい年だし、周りの友人も結婚している人が多いし、早く結婚したいなあと思っていた。2019年の夏、ついにプロポーズを受け、嬉しい気持ちになった。

あと1年で20代も終わり。18才年上の彼に「結婚する気がなければ別れる」と言ったら

こんな話は結婚する前にしておくべきだったと自分自身を責めた

プロポーズを受けた後、両親への挨拶をどうするか、顔合わせはどこでやるのか、仕事はどうするのか、どこに住むのか、結婚式はどうするのか、様々なことを考える必要があった。私の転勤で結婚前は遠距離恋愛をしていたこともあり、結婚に向けての準備がなかなか進まず、だんだんと「あれ?結婚の準備ってもっと幸せな気分でやるもんじゃないの?」と思い始めた。

彼と話を進めていくと、様々なことで意見の相違が出てきた。まず、一番大きかったのは、結婚したら彼の両親と同居するという点。彼が一人っ子で長男であることは知っていたので、私は結婚する前に同居だけは嫌だとアピールし続けてきた。
しかし、彼はこの点において一歩も譲らなかった。田舎だからか、小さい頃から刷り込まれたのか、絶対に家を継ぐ必要があると。
核家族で育った私からすると、「結婚って夫婦2人で家庭を作っていくことじゃないの?」と信じて疑わなかったし、周りの友人だって同居なんかしている人はいないし、そもそもこんな話は結婚する前にしっかりしておくべきだったと自分自身を責めた。

この令和の時代にどうして私はこんな環境にいるんだろう

さらには、同居することで私は仕事に通えなくなるので、仕事を辞めなくてはならない点。どうにか2人の職場の間に住んで仕事を続けたいと訴えたが、あっさり却下された。

この時点で婚約破棄することもできたのに、私にはそれができなかった。彼と結婚するにはこの条件を飲むしかないと思った。なんで私だけがいろいろ捨てないといけないんだろう。

そして、両家の顔合わせ、結納、入籍を済ませ、私の結婚生活は同居という形で始まった。同居し始めて約1年が経つが、なんとかやっていると思う。義両親はとても優しくていい人たちなので、かろうじて上手くやれていると思う。

しかし、それでももともと生活リズムも食事の好みも全然違う他人なので、ちょっとしたことで嫌だなと思うことも多いし、好きな時に昼寝したり、好きな時に好きなものを食べたりしたいし、夫婦だけで一緒に住んでいる人たちがうらやましいし、できることなら一緒に住みたくない。そして、つくづく結婚って何なんだろうと思う。

私がこの1年考えていたことは、私が希望した結婚生活は夫婦2人の個と個のつながりだったが、実際は夫の家族、親族、それにご先祖様、つまり家と家の結婚である。嫁いだという言葉が私の全てを表している。

私は嫁ぎたかったのではなく、ただ結婚がしたかった。この令和の時代にどうして私はこんな環境にいるんだろう。もちろん悪いことばかりではないが、今後も家のことで頭を抱えることがたくさん出てくるだろう。
でも、彼と結婚すると決めた以上、私は抱えて生きていかなくてはならないと思っている。ただし、嫌になったらいつでも逃げられるように準備はしておきたいと思う。

どうかみんなが自由に結婚生活を楽しめる世の中になりますように

私の周りには同居をしている人はあまりいないが、ネットで検索してみると意外にも同居をしている人は多いようだ。みんなそれぞれの事情を抱えながら、いろんな我慢をしながら同居している人がいるのがわかる。
こんなに嫌がっている人がいるのに、どうしてこんな同居制度が日本には残っているのだろうか。今は平均寿命も延びていて、何十年と義両親と一緒に暮さなくてはならないし、余計につらいと思う。自分が選んだ道なのに、制度自体を恨むことしかできない。

まだ私には子どもがいないが、子どもができたら子どもには自由に生きてほしいと思う。
私は息子やその奥さんと絶対に同居なんかしたくないし、息子や娘には実家から通える範囲で大学や仕事を選んだりしてほしくない。きっと夫をはじめ、みんなに反対されるんだろうなあと思うが、家に縛り付けられた人生なんて歩んでほしくないから、私は戦いたいと思う。

こんな内容のエッセイを投稿することに対して、後ろめたさがあるが、匿名であることを武器に投稿してみることにした。
どうかみんなが自由に結婚生活を楽しめる世の中になりますように。そして、どうかこのエッセイが義両親と夫にばれませんように。

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