「黙っていればモテそうなのに」
「顔のほくろが無ければモテそうなのに」
私が何度も言われてきた言葉。言われるたびに自分から笑いに変えて、誤魔化してきた言葉。

言った相手にとっては軽い一言。それでも私は傷ついた

私がモテないと言われた理由は二つ。
「しゃべりすぎること」と「顔のほくろ」。

私は話すことが大好きで、お笑いが大好き。エピソードを話すときはオチをつけたいし、どうせなら相手に沢山笑って欲しい。そんな思いでいつも全力でトークしてしまう。
たとえそれが出会いの場であっても。合コンの場で身振り手振り大きく使って話したり、自分から話題を沢山振ったりするのはモテないよと度々言われた。

そして私の顔には口元に大きなほくろがあった。
私らしくて良いと言ってくれる友人もおり、私自身もチャームポイントとして気に入っていた。
けれど思春期はあまり好きになれなかった。それを理由にからかわれたり、「無いほうが可愛いのに」と言われたことがあったから。

言った相手にとっては軽い一言。
傷つけるつもりはなく、モテない私へのアドバイスだったのかもしれない。
それでも私は傷ついた。彼氏ができない時期が続いたら、やっぱりあの時言われた性格や容姿が原因なのではないか?と思い悩んでしまった。
ただ黙って相手の話をニコニコと聞く、顔にほくろの無い私。それはもう「私」ではないのに。
「○○が無ければ」という言葉は、私を今の私のままではいけない気にさせた。

個を大事にする時代とはなんなのか。結局みんな量産型が好きなんじゃないか。
モテるためには、相手に受け入れてもらうためには、自分を消さなくてはいけないのか。
思春期から社会人になっても続いたその言葉に、私の個性はじわじわ削られていた。

彼の真っ直ぐな言葉がとても嬉しかった

そんな私だが、先日1年の交際の末結婚した。
彼とは出会って3年ほど経つが、彼は付き合う前から今に至るまで、私に一度も「○○が無ければいいのに」という言葉を使ったことがなかった。

交際が始まってすぐの頃、私今までこんな風に言われたこともあったんだよと、過去の話を笑い混じりに明るく伝えた。
すると「そこが貴方の良いところで、自分はそこが好きなのに。そのままでいてよ。」と笑顔で答えてくれた。彼の真っ直ぐな言葉がとても嬉しかった。

そう言われた瞬間、「私は今まで一体何に傷ついていたんだろう」とさえ思った。悩まされていた言葉達が一瞬で吹き飛んで、削られた個性がじわじわ自分のもとに戻ってきた。

万人にモテなくて良い。私は私のままでいい

そもそも私はモテたかったのではない。「あなたはそのままでいい」と言ってくれる人に出会いたかっただけなのだ。

たった一人の一言が、全員の意見のように思えて傷ついてしまうときもある。でもそのままの自分で生きていたら、そこが良いと思ってくれる一人にも出会える。その一人を私は心から大切にしたいと思う。

「モテる私」になろうとしていた当時の自分より、今の自分のほうが気楽に素直に生きているし、今の自分が一番好きだ。

私は私のままでいい。
あなたもあなたのままでいい。