私が働く理由。それは地球人に生まれてきちゃったからである。具体的に言うと宇宙人になるための学費を稼いでいる。
私はウルトラマンが大好きだ。ウルトラマンになりたい。憧れのヒーローになりたいのは何もおかしなことではない。

好きを仕事にしたくて。ウルトラマンになるための3つの方法を考えた

ただ残念ながら地球人に生まれてしまった時点で宇宙人にはなれない。と思っていたが、好きを仕事にすることを諦めきれない私は無い頭を捻り、ウルトラマンになる方法を考えに考えた。そして3つ方法があると結論づけた。

1つ目はスーツアクターになること。
スーツアクターとはヒーローや怪獣、ロボットなどなどの着ぐるみを着て演技をする俳優のことである。これは私にはとてもできない。無理である。なぜなら生まれ持っての運動音痴だからだ。人生で1度も体育で良い成績を取ったことがない。50m走で全力疾走したのに教師に「本気で走れ!」と激怒され、逆上がりは1度も成功しないまま大人になってしまった。
そんな人間が重たいスーツ着てかっこよくアクションを決めることなんて不可能だ。爆発の仕掛けに巻き込まれて死ぬ。

2つめは女優になること。
ウルトラマン・ウルトラウーマンに変身する女優は意外と存在する。全てのウルトラ作品をまだ視聴できていないのでハッキリした人数は正直分からないが、10人近くいる。
有名どころでは、あの吹石一恵さんがウルトラマンジャスティスに変身している。直近だと其原有沙さんがウルトラウーマングリージョという人気キャラクターに変身している。

女優も私には無理である。なぜなら、変身ポーズをキレッキレに演じるには運動神経が必要だ。アクションも要求されるだろう。何度も繰り返すが私は病的な運動音痴なのである。
また、女優はちびっ子たちから見て美しくなければならない。ちびっ子たちどころか、海外のファンや宇宙人から見ても美しくなければならない。
残念ながら私の容姿はいわゆるブスである。しかも、運動しない分、太っている。これではウルトラマンに変身は出来ない。もしかしたらマスコットキャラとか怪獣には変身できるかもしれないがそれでは駄目だ。

3つ目は声優になること。
人気声優の宮野真守さんがウルトラマンゼロを演じることになった時は、ファンの間で大きな話題になった。ウルトラマンゼロ以降、人気声優がウルトラマンを演じることは珍しくない。私が恋するウルトラマンタイガくんも人気声優の寺島拓篤さんが演じている。
心に熱い正義の思いを秘めつつも未熟な若きヒーローの役に声がとてもよく合っている。タイガくんが気になった皆さん、是非ウルトラマンタイガを見てください。

1度は諦めた、声優としてウルトラマンを目指すという夢

実は、声優はウルトラマンと関係なく、私が幼い頃から目指している職業だ。
若い頃は何度も一般公募のオーディションを受けた。1次審査すら通った記憶はない。養成所の特待生オーディションも片っ端から応募した。受かっていたら、今頃このエッセイを書いてはいないだろう。つまり、私は天才ではないということ。華々しいデビューは出来ないということだ。
じゃあ声優として、ウルトラマンを目指すことも無理なのではないか?私は1度は夢を諦めた。
ヒーローを応援するのはとても楽しい。それでいいじゃないか。しかし、コロナ禍で様々な変化に巻き込まれ、気持ちが変わった。このまま一生ありふれた地球人のままでは終わりたくない。

それからは声優養成所をネットで検索し続けた。若い頃より入所できる養成所は格段に減っていた。そりゃそうである。一般的な会社でも未経験30歳は欲しくないだろう。そんな中、40歳まで入れて、学費も払えそうな養成所を見つけられた。
私は4月からその養成所に入所し、レッスンを受けられることになった。

凡才の私が天才声優たちに並ぼう追い抜こうとすると費用がかさむ

入所金に受講料、それにプロフィール作成代。田舎に住む身としては交通費も痛い。この先、発表会などでもお金がかかるだろう。凡才の私が天才声優たちに並ぼう追い抜こうとするとこれだけ費用がかさむのである。
ということは、お金を稼がなければならない。つまり働かなければならない。だから働いているのである。

天才だったら費用は免除され、大きな役を若いうちに獲得し、華々しい活躍ができただろう。わざわざ声優以外の仕事でお金を得るために、働く必要はなかったのだ。それを思うと正直悔しい。
でもウルトラマンたちも修行して強くなるのである。だから私も労働をウルトラマンになるための修行だと考えて乗り切っている。
私が働く理由はウルトラマンになるためだ。夢を叶えるためのお金稼ぎの手段である。
本当に地球人に生まれてきてしまって残念だ。最初からあの美しく神秘的でかっこいい宇宙人に生まれてきたかった。