鼻のちょっぺんにひんやりした空気が纏ってる。冬が来た。
まだ彼と付き合う前のデートの帰り道に初めて手を繋いで歩いた日からもうすぐ一年が経つと思うと早いようで短く、ソワソワしてしまう。嬉しくて少しもどかしい気持ち。彼は出会ってからずっと味わったことのない楽しさと幸福を絶え間なく注いでくれる。彼に出会えて私は宇宙一幸せ者だ。

このエッセイを書くにあたって、彼を大好き!!!と感じた時のエピソードを思い返してみたけれど、たくさんありすぎてどれにしようか悩む程、私は彼のことを心から愛している。

レストランより、私の作ったガパオライスを美味しいと言ってくれた

唐突だが私は無類のタイ料理好きだ。割と小さい頃からタイ料理(母がエスニック系大好きだった)を食べてきた為、出かけた先のご飯は毎回タイ料理なくらいタイ料理、タイ料理が好きで、好きすぎて短期大学生だった時にタイに短期滞在した程だ。早口言葉になりそうな程だが、本当にタイ料理が大好きで、そんな私はもちろん家でタイ料理を作る事も大好きで、あの時食べた本場の味に近い味が出せるようにとせっせとしょっちゅう作っていた。

彼と付き合ってからのはじめてのデートは公園でピクニックで、その時にガパオライスをお弁当に作って持っていった。彼はタイ料理をその時に初めて食べたらしく、私のガパオを美味しい!とたくさん褒めてくれた。彼はいつも満面の笑み(本当に彼の笑顔は去年咲いた千年に一度しか咲かない花も今年咲いてしまうくらいの笑顔)で私の料理を嬉しそうに食べてくれる。けれど基本的に捻くれてる私は、少し照れもあるため、私の中ではこれは本場の味じゃないから今度ちゃんとしたやつ食べ行こうね!とゴリ押しで言っていた。

その後もちょこちょこタイ料理を作ったりしていて、先日ついにタイ料理をレストランに食べに行くことになった。彼はガパオライスを注文し、いつも通りのあの満面の笑みで美味しい!と言った後、小さく私だけに聞こえる声で、「でも、君が作ってくれたガパオライスの方が美味しい」と呟いてくれた。

お店の人には申し訳なかったが、私はとんでもなく嬉しかった。うち!!!ガパオライス名人やねん!!と大声で叫びたかった程。いつも捻くれてる私の事を彼はガパオライスの様な絶妙なバランスで愛を囁き、包み込んでくれる。

これからずっと、彼に美味しいガパオライスを作っていく

そんな彼と今年のクリスマス前に一緒に住み始め、年明けには籍を入れる事になっている。私はこれから先死ぬまでずっと彼にとびきり美味しいガパオライスを、歳を重ねるほど濃厚な愛情というスパイスを込めて作っていく。そんな幸福な未来に今からワクワクでスプーンが止まらない。