2018年1月、いま付き合っている人からの告白を、わたしは1度断った。

素の彼自身がどんな人物だかわからず、「うーん」となった

彼の存在を知ったのは、いまからもう5年前になる。
同じ職場に彼はいた。
女性ばかりで若い男性がほとんどいない職場だったので、「珍しいな」と気になってはいたが、挨拶を交わすだけで、それ以上に話すことはなかった。
時を経て、3年前にひょんなご縁から彼と連絡先を交換することになり、2人でご飯に行くようになった。
彼自身はひとつ年上で、偶然にもキャンパスは違うけど同じ大学だった。
連絡はマメなタイプ。
行く場所も決めてくれて、基本的にあちらが決めてくれるし、食べたいものがあれば、それを尊重してお店を選んでくれる。
気も利く人で「こういう人が彼氏になったら、幸せになれるんだろうな」と思った。

2回目のデートの夜。帰り際に告白され、1週間悩んだ末お断りした。
振った理由としては、「素で話しているように感じないから、実際彼自身がどんな人物だかわからず、付き合うとなると違う気がしたから」だった。
好きな人が相手だと緊張するのも分かるし、好きになってもらいたいから相手に合わせる気持ちも分かる。
けれど、「その人自身」が伝わってこなくて、うーんとなったのだ。

「本当のわたし」を知るのにもう少し時間が欲しかったと言われた

そして、彼と付き合うという選択肢を選ばなかった理由がもうひとつある。
彼とは別に片想いしていた男性がいたのだ。
その片想いしていた男性は、今の彼とは真逆。
連絡はマメじゃないし、基本的にわたしから。
ご飯に誘っても、デートに誘っても決めるのはわたし。
でも、優しいし、見た目がわたしのタイプで時折出る方言が好きだった。

わたしが友達ならその話を聞いた時点で、「やめときなよ」って声をかけたくなるのだが、さすが恋は盲目。周りの意見など耳に入らないのが、恋するオトメ。

約5か月くらい片想いしていた彼に、仕事で異動の話が来ていた。
あと数日したら愛知から東京へ行かないといけないらしい。
わたしは告白のタイミングだと思った。

2018年7月の終わりにわたしは告白して、振られた。
振られた理由は、「まだ2人でご飯に行くとかし始めたばかりで、もう少し時間をかけてお互いのことを知られたら、付き合ったかもしれない」だった。
時間とは言っているけれど、5回ほどはもう2人でご飯に行っていた。
「付き合うまでのお互いを知る時間は、もう十分じゃないのかな」と思ったのはわたしだけ?
けれど、考えてみたら片想いをしていた彼には、素のわたしではなくて、好きな気持ちが空回りしているわたししか見えていなかったのだろう。
だから、本当のわたしを知るには、もう少し時間が欲しかったと言った。
けれど、わたしの好きな気持ちが先走って、告白してしまった。
やっていることは、いまの彼が告白してきた時と同じだったのだ。
彼と同じような恋の仕方、告白の仕方をしたのだ。

いまの彼との方が、理想的で自分が幸せになる恋と思った

わたしは片想いの彼のなにが好きだったのだろうか。
確かに好きだったのだ。
でも、ノートに書き出した、自分が付き合いたいと思う彼氏像に近いのは、いまの彼だった。
そう気づいてから、わたしはいまの彼と改めて向き合うことにした。

デート中にはなんとも思っていなかった彼の言葉。
わたしが当たり前と思ってやっていたことを褒めてくれた。
珍しい趣味もいいと言ってくれた。
小さなことも真剣に考えてくれていた。

彼とは付き合う気はなかったからこそ、出せていたありのままのわたしを、好きだと言ってくれた。
こんな幸せはないんじゃないか。

片想いしていた彼への恋心も間違いではなかったけれど、いまの彼との方が理想的で自分が幸せになる恋と思ったら、急に彼の存在が気になりだした。

少しずつではあるが、また彼と連絡を取るようになった。
そして、2018年8月。
もう一度、2人で会うことになり、付き合うことになった。
わたしも彼も振られたからこそ、学んだものがあって、そこから変わったら最終地点が一緒になった。
振ってしまった場所から付き合う場所になるのに、そう時間はかからなかった。

女は追いかける恋よりも、追いかけられる恋の方が幸せと聞いて、「本当かよ」と思っていた。
でも、追いかけまくる恋をしていて苦しかったわたしには、追いかけられる恋の方が幸せになれるみたい。