初恋はいつだったかと話題になれば、中学2年の夏だと思い出す。
仲良し女子3人組でいつも行動していた。
私、メグミ、エリ、の3人。(どちらも仮名)
その3人で同時期に恋愛をしていた。夏休み前にカップルが増えるあれだ。
仲良い子同士で同時期に恋愛モードになることはこの後も経験する。不思議なことだな。女子は恋バナと共通の敵がいた時に急速に結束を強める。
忘れてしまうほど、ささいで、曖昧なきっかけで、人を好きになっていた
私が好きになったのは、家が近所の、すらっとした男の子だ。
血液型がB型だったから、ここでは仮にB男と呼ぶ。
田舎なので、小中と顔ぶれは変わらない。クラスは学年で1組。B男のことは、小学校から知っていた。家が近所なので、小学校の集団登校、地域の催しでずっと一緒だった。
中学2年の夏、この人のことが好きかもしれないと思った。意識し始めるとそれは確信に変わる。
今となっては忘れてしまうほど、ささいで、曖昧なきっかけで、人を好きになっていた。
でも、好きだという気持ちには確信を持っていた。同時に恋愛モードになっていた3人組で協力しあった。
どんな風に告白したかも、はっきりとは覚えてない。メグミとエリが、手伝ってくれて、電話で伝えたような気もするし、メールだったような気もする。どうにかこうにか、晴れて、カレカノになり、毎晩メールや電話をして、キャッキャしていた。そんな日々が楽しかった。
やっと色々な感情が追いついてきて、最終的には猛烈に怒っていた
それは、ある日突然、別れようと、メールで告げられた。とてもシンプルな文面だった。突然のことで、驚きが先行して、泣きも怒りもしなかった。ああ、そっか、別れるのかと、不思議と、素直に受け入れていた。
次の日、登校したらエリが教室で泣いていた。フラれたことを報告するより、エリを慰めることが最優先になった。なにがあったのか聞くと、エリがフラれたという。(メグミとエリも晴れてカレカノになっていた)
あれ?そういえば、私も昨日フラれたよ。こんな偶然あるんだ?
状況を飲み込めなかった。
どうやら、エリの彼氏が、B男とメグミの彼氏を「一緒にふろう」と誘ったらしかった。
B男はその誘いに乗った。同時にフラれたのは偶然なわけがなかった。それに賛同するようなやつと付き合ってたのかと虚しくなった。いや、そもそもエリの彼氏を責めたい気持ちもある。(メグミの彼氏はこれに乗らなかった。当たり前のことだが、褒め称えたくなる)
やっと色々な感情が追いついてきて、最終的には猛烈に怒っていた。
何年も経った今でも、私はこの人のことが好きだったと思い出される
そして、これは後に分かったことだが、B男は、メグミのことがずっと好きだったという。ずっとって私と付き合う前から?なんで私と付き合ったの?私のことは好きじゃなかったの?質問攻めにして、追い詰めてやりたい気持ちが一瞬芽生えたが、結局、確かめることはしなかった。どうしようもなく、悲しく、惨めな気持ちにさせられた。
メグミのことが好きだったB男にとって、同時にふろうと誘われたのはいいきっかけだったんだなと妙に納得してしまった。
フラれて少し経ってから、結局、私は怒りと悲しみの矛先をB男に向けた。B男に喧嘩をふっかけ、ほぼ口をきくことなく中学を卒業し、別々の高校に進む。成人式後の飲み会で再開し、一言二言、世間話をした。
中学校から何年も経った今でも、私はこの人のことが好きだったなと思い出される。
それから私は恋愛という恋愛をしていない。好きな人に出会っていないのかな、女性が好き?、アセクシュアルの可能性もある、そもそもそんなに恋愛に興味はないというのが大きいかも。ケセラセラ。
人を好きだったことがある、という事実が私をどこか支えている。あれが好きだという感情だ、と思い出せるものがあることはとても大きい。
あの時は喧嘩をふっかけてしまうほど怒ってしまったが、私の初恋話のネタとなり、こうしてエッセイを書くことができた。いろいろな感情の経験をさせてくれたB男に出会えてよかったなと今なら思える。