昔、彼女がいた。
私は体も一応女だし、性自認も女だ。
いつも一緒にいる仲の良い友達と思っていたら急に告白されて、なんだかOKしてしまった。これまでは女の子に告白されても、性別関係なく好きにはなれないからと断ってきたけど、この時ばかりは許してしまった。まぁ、友達としては大好きだし。いいだろう。と思っていたのにすっかり恋人同士を楽しんだものだ。

元恋人が男だったら簡単に切れたけれど

今、彼女は私にとって大事な元恋人だ。でも会えていない。友達には戻れそうにないからだ。
今の彼氏からも、「どちらかにでも好きな気持ちが残っているなら会わせられない。元々友達だったからなんて言い訳に過ぎない」と言われた。

男だったら元友達でもなんでも簡単に切れたのに、彼女はそういうわけにはいかなかった。やはり性別で違いはあるのかなと思ったけれど、多分違う。同性同士の友達という、異性の友達と比べて身体的距離が近づきがちな関係だからだろう。好きだという気持ちには性別は関係ない。
性別がどちらであれ会わせないというのは、彼が彼女を私の元恋人として認めているからに他ならないからだと思うと、なんだか嬉しかった。

未来が見えなくて別れるなんて、元彼でもあったこと

私はバイセクシャルに分類される人なのだろう。もう他の人と付き合おうなんて思わないから男性も女性も特に性的な魅力を感じないが、まぁどちらでも魅力的な人は魅力的だと思う。

彼女と付き合っている時、私たちはそれを特に隠そうとはしなかった。親には言わなかったが、結婚を意識していたら言っていたのかもしれない。結婚できないことや自分たち2人の子供は残せないということでそのままお別れすることにした。
というと性別が同じだったから仕方がなかったように取られるかもしれないが、実際は私が彼女との未来をそこまで考えられなかったから別れたのだ。未来が見えなくて別れるなんて、元彼でもあったことだ。彼女だからではない。それを同性だったから別れたのだと片付けられたくはない。

幸い隠さなくても誹謗中傷はなく、周りの理解もあった。別に同性カップルが特別外でベタベタすることも、場所もわきまえずにいちゃつくこともない。そんなことをしたら顔をしかめられるのは異性カップルと同じだ。
同性カップルだって異性カップルだって、条件が合えば誰でもいいなんて考えるはずはない。そんな考えのまま付き合おうなんてやつがいたらそんなやつはぶん殴ってやっていいと思う。その人がいいから付き合っているのだし、簡単に他の人を好きにはならないし、性別関係なく不貞は不貞だし、大事にされなければ憤る。当たり前のことだ。

だから同性愛者だという理由だけで怖がられるのは納得がいかない。「同性ってだけのあなたなんかには全く惹かれないから安心して。」「親切だって別に性的対象として見ているからではないから気にしないで。」と言ってやりたい。たまに同性の友人をかわいいと言ったり、素敵だと褒めることはあるが、これは親愛の情に他ならない。この延長線上に恋愛があるわけではない。

世の同性カップルたちは胸を張っていい

異性の恋人がいた時と全く同じように、他のカップルとの違いなんかなく、ごく自然に当たり前に仲良く過ごしていた。
ただ異性カップルと違うことは、自分たち2人のどちらとも血の繋がった子供は持てないことと、日本では結婚できないことの二つだけである。

それなのに同性愛を害悪や何かだとか、気の迷いなんて言われると、今現在は同性を愛しているわけではない私ですら反論くらいしてしまいたくなる。
幸い私の周りにはそのようなことを言う人はいなかったが、別れるのも時間の問題と言う人はいた。それを尻目に結構長く付き合っていたけれど、何にでも文句を言う人はいるものだ。一部のそういう人は変わらないにしても、それでも世論くらいは変わってほしい。

世の同性カップルたちは胸を張っていい。
同性愛すら認められない世の中なんてきっとつまらない。もっと堂々として、世間の目を変えてやろう。