幼いときから、自分が悪いとわかっていても謝ることができない相手がいる。
2歳下の妹である。
身近な存在であることに加えて、「私の方が上だ」というプライドもあって、妹に対しては素直になれないことが多かった。
悪いのは私、そうわかっていても妹の「ごめんね」を待っていた
小さい頃はよくモノや場所の取り合いにあって喧嘩もした。
年が近いから、喧嘩をするのは普通だと思われるかもしれない。
でも、私は自分が勝手すぎた、自分のわがままだったとわかっていても、妹には「ごめんね」が言えなかった。
仲直りするときは、いつも妹からの「ごめんね」という言葉を待っているような姉だった。
母や友達に対しては自分から謝ることはできるのに、妹に対しては仲直りしたくても、自分からは行動が起こせなかったのだ。
私と妹が小さい頃、実家では毎年クリスマスになると玄関にクリスマスツリーを飾る習慣があった。
ツリーのてっぺんに輝く星やイルミネーションライト、発泡スチロールでできたサンタの靴やプレゼントボックスなどの飾りがついたツリーが飾られるとワクワクしたのを今でも覚えている。
しかし、幼いころ噛み癖があった私は、そんな素敵なツリーについている発泡スチロール製の飾りのいくつかを噛んでボロボロにしてしまったのだ。
しばらくして、母が壊れた飾りを見つけて誰がやったのかと聞いた。
怒られると思った私は、とっさに妹のせいにした。
濡れ衣なのに。泣いて謝る妹を見て、初めて抱いた強烈な罪悪感
母は妹を叱った。
ツリーの飾りを台無しにしたのは私なのに、妹は自分がやったのではないとは言わなかった。
後で私と喧嘩になるのが怖かったのかもしれない。
妹は泣きながら母に謝っていた。
壊れた飾りのついたツリーの前で叱る母と、壊していないのに、まるで自分がやったことを認めるかのように泣きながら謝る妹。
その光景を離れて見ていた私は、母に叱られなかった安心感とともに、それ以上に大きな罪悪感を抱いた。
かじり癖があるくらい、小さな頃の出来事だったのに、初めて抱いた強烈な罪悪感を大人になった今でも覚えている。
でもその時でさえ、素直になれない私は妹に謝ることができなかった。
あの頃の自分の「ずるさ」が今では恥ずかしい。
妹はそんな私をどう思っていたのだろう。
私たちが姉妹でいられたのは妹のおかげ。だからこれからは、私も。
今は妹も私も、社会人になって、実家を離れてそれぞれ暮らしている。
今では、実家に帰省したタイミングが偶然重なったとき、年に1~2回会うかどうかだ。
一度、些細なことがきっかけで妹と喧嘩をしてしまい、ぎくしゃくした関係のまましばらく会えずにいた。
そんな時期に、同じタイミングで実家に帰省し、妹が地元の同窓会で出かけて夜遅くなってしまったことがあった。
家の鍵は締まっているが、だからと言って夜中にピンポンを押して家族を起してしまったら、母には怒られてしまう。そんな状況で、妹はLINEで「もう帰るから鍵を開けてほしい」と私にメッセージを送ってきた。
ささいなことかもしれない。
でも、そんな風に妹に対して素直になれなくて、まだ喧嘩を引きずっている私に対して、困ったときに頼ってくれる。
それが私はすごく嬉しかった。
正直に言うと大人になった今でも、妹に対して素直に自分から謝ることができるか自信がない。
これまで一緒にいることができたのも、妹が人を許すことのできる性格だったおかげだと感じている。
そんな風に尊敬する妹とは、心を開いて良い関係でいたい。
間違ったことをしたときに、自分から妹に対して「ごめんね」と伝えることができる素直さを大切にしたい。