嫉妬深さから、恋愛経験の少ない男性と付き合ってきた

尋常じゃない「嫉妬深さ」がコンプレックスだ。
恋人がこれまでどんな女性とお付き合いしてきたのか、気になってしまう。
簡単に言ってしまえば、元カノが自分より劣っていると納得できるまで、どんな人間なのかを調べてしまうのだ。
一度納得できても、ひとつ気になり始めるとメンタルがコントロールできなくなる。
その前の元カノはどうなのか、ではその前は……?
自分で調べられる範囲を超えると、もう、どうにもならない。

非常にたちが悪く、醜い。そんなことは分かっているけれど、やめられない。
だから、できる限り経験の少ないであろう人とお付き合いしてきた。
わたしが初めての彼女、という人もいた。その方が安心できるから。

彼氏の元カノとのアルバムを勝手に削除した

それなのに、あろうことか、俗に言うイケメン、モテる男性を好きになってしまった。
会ってすぐに、「この人とはずっと一緒に生きていきたい」、なんて思ってしまったのだ。
付き合ったばかりの頃は、「好き」ということでいっぱいで、他のことは目に入らなかった。
しかし、彼のSNSに元カノの影が見えた。そこからわたしは狂ったように元カノや関係があった女性について調べ始めた。
共通の友人が面白がっていろんな情報を与えてきてから、わたしはさらにおかしくなっていった。

彼のスマホは何度も見た。
元カノとのLINEにアルバムが残っていた。楽しそうに笑う彼の隣には、わたしではない女性が笑っていた。その前の元カノとのアルバムも残っていた。
わたしは、元カノとのアルバムを残している神経が分からなかった。
その元カノにも新しい彼氏がいるのに、どうしてそんなものをお互いに消さず、残しておくのか、理解ができなかった。
大切にされていないのだ、と思った。だから勝手に全て削除した。
わたしがスマホを見たことがバレるのは分かっていたけど、それよりも、その前の元カノの名前が分からなくて調べられなかったことの方が気になっていた。
急にアルバムを消したから、元カノと連絡を取るだろうかということも心配だった。もうわたしは、狂っていた。

元カノに執着しすぎてボロボロになっていた時にプロポーズを受けた

すべて見てしまったら、日々切なさしかなくなってしまった。
一緒に歩いていても、他の女性とこの道を歩いたことを想像するし、わたしに貸してくれる部屋着を元カノも着ていたのだと思うと吐き気がした。
そのショルダーバッグに誕生日のシールを付けてディズニーに行ったことも知っているし、そのブランドのキーケースも元カノからもらったのだと知っている。
なんなら同棲を始めたこの家に何人の女性が出入りしていたのだろうか、この布団に何人の女性が寝たのか、そんなことまで考え始めるようになった。もう同棲は無理だと思った。

それでも、彼のことが狂おしいほど好きだった。わたしに対する彼からの愛を確かなものにするために、今までの彼女と自分は違うのだという確信がほしかった。彼のスマホやSNSを調べては、一喜一憂を繰り返した。

落ちるところまで落ちて、ぼろぼろになったわたしは、彼に全てを打ち明けた。嫌われるかもしれないけど、もうこの生活に耐えられなかった。
そしたら彼は、引っ越そう、と言ってくれた。そこから少し時間はかかったが、引っ越しをして、その日にプロポーズされた。

自分ばかり傷ついていると勘違いしていたことを悟った

わたしは大きな間違いをしていた。
彼の愛は、過去の女性と比べることで得られるものではなかった。彼はわたしのことを精一杯愛してくれていた。わたしがきちんと受け取らないから、たくさんこぼれ落ちていたことだろう。
それでも懲りずに、何度も、何度も、与え続けてくれていた。わたしは過去ばかり気にして、それを見ようともしなかった。

自分の立場で考えてみたら、元カレと彼を比較することなんて、できなかった。
彼と付き合ってから別の男性のことを考えたことなんてない。わたしの写真フォルダにも、元カレの写真の1枚や2枚残っているかもしれない。
彼が大切で、彼だけを愛している。元カレのことなんて、とうの昔に忘れてしまった。
好きじゃなくなったから、別れたのだから。
もしかしたら、彼も同じ気持ちなのではないか。自分ばかり傷ついて苦しんでいると思っていただけど、わたしは彼のことを傷つけていたのではないか。

過去のことを一度横に置いておいて、彼を見てみると、わたしへの愛が手に取るように分かった。夜道や車道を歩くと心配するし、わたしの好みを何でも知っているし、わたしの家族や友人まで大切にしてくれている。その気持ちに過去の女性は関係なかった。

自分の愚かさに、恥ずかしくなった。わたしは嫉妬深いのではない。
自分に自信がなくて、嫌われることが怖かったのだ。相手の過去という弱みを握って優位に立ったつもりになって、自分の弱さから目を背けていただけだった。
彼は、こんなに醜い言動を繰り返すわたしを受け入れ、愛を与え続けてくれた。彼はすべて理解した上で、わたしを愛してくれていた。

眠れない夜には「愛してる」と伝えることにした

それから、過去のことには目を向けないと決めた。
そんな時間があるなら、少しでも綺麗になりたいし料理が上手くなりたい。最高のわたしの状態で、彼の隣にいたい。
過去が気になって眠れない夜もあるけれど、そんなときは彼に「愛してるよ」って伝えることにしている。
そしたら彼も応えてくれるから。わたしが言わなくても、彼は寝る前に必ず「愛してる」と伝えてくれる。言葉ひとつでこんなにも気持ちが楽になるなんて、知らなかった。

彼は、わたしの旦那さんになった。自分の考え方すべてを、すぐに変えることはできないけれど、変わってきている実感がある。彼とずっと一緒にいたいから。
彼の力を借りて、少しずつ、克服している。