「失礼だけど、女子校出身?」
上京して、華の女子大生1日目。これは、同じく中高一貫の女子校出身の同級生が、初対面で放ったひとことである。
隠し続けた高校生活の秘密
「女子校出身者」の特徴。
大口を開け、手を叩いて爆笑する。変顔がガチ。マシンガントークしがち。空気が読めない。(物理的にも、心理的にも)異性との距離が近い。自分をネタに笑いを取る。
ネットで検索をすると、大きく頷く項目ばかりである。
外から見たら「お嬢様学校」、中に入れば「動物園」。奇声が響き、ナプキンが宙を舞う。体育のバスケではタックルが連発する。廊下にパンツが落ちていたこともあった(笑)。開放的過ぎて、もはや「サファリパーク」かもしれない。
そんなサファリパーク出身の私は、大学進学後、自身の不思議な能力に気がついた。明確な根拠こそないが「女子校出身者」が感覚的にわかるのだ。部活の後輩も、女子校出身者を全員言い当てた。どうやら、女子校出身の人は、割と持っている能力らしい。これが研ぎ澄まされた動物の勘なのだろうか。
「お姉ちゃんが言ってたんだけど、大学行っても、女子校出身ってすぐにバレるんだって。猫被ろうったって無駄らしいよ。」高校時代に友達が言っていたこと。あれは本当だった。
「失礼だけど、女子校出身?」
私はそう言われた日から「共学っぽい」と言われることを目標に、人間観察に勤しみ、女子校の出であることをできるだけ隠した。なぜなら、女子校出身者は「変わってる」からだ。「失礼だけど」って前置きされるくらい。しかし、その努力空しく、私の正体はことごとくバレた。もともと、同じ女子校育ちは共鳴(?)してしまうから、仕方ないと思ってはいたが、バイト先の男性社員にまで見破られてしまったのだ。あれは結構ショックだった。そうか、男の人にも暴かれてしまうのか、と。
女子校出身に、自信と誇りをもつ
限界を感じた私は、女子校出身者は本当に「変わってる」のか考え直してみることにした。確かに「女子しかいない環境」は社会から見たら、特殊かもしれない。しかし、そこで育った人も「特殊」なのだろうか?むしろ、異性の目を気にせず、すくすくと成長した私たちは「女性」という性にとらわれることなく、ありのままの自分を生きているのではないだろうか?それはさすがに都合の良い解釈すぎるかもしれないけれど。
しかし、改めて考えると、異性のいない環境で育った女の子が「異常」で、異性のいる環境で育った女の子が「普通」というのは、ちゃんちゃらおかしい。それではまるで、女の人の価値が男の人に決められているようなものではないか。今まで全然気づかなかった。私は、女性が生きづらい世の中に強く反発する一方で、無意識に女性としての強さを疑っていたのだ。
おそらく、多くの人は「女子校出身」なんてことは気にしていないのだろう。逆に、良い印象を抱いている人も意外といるのかもしれない。
私はその時、異性と関わりのない特殊な環境で育ったことをコンプレックスに思っていた自分に、初めて気がついた。だからこそ、誰でもない、自分自身が「女子校出身者は変わっている」なんてレッテルを勝手に貼っていたのだ。しかし、そんなことは決してない。女子校では、演劇の男役も、合唱コンクールのアルトパートも、力仕事も、全部女の子がやっていたのだ。むしろ誇って良いはずだ。私は「変わって」なんかいない。
これからは胸を張って言おう。
私は生粋の女の子。女子校出身の女子大生だ。