一時流行ってたよね、『5000兆円欲しい!』っていうギラッギラの画像。分かる。めちゃくちゃ分かる。欲しいよな、5000兆円。ギラギラの字体にもしたくなるよな。
働かなきゃお金が貰えんっていう制度の意味分からんなって思いながら大人になった。いや、分かってんのよ。働かんとお金貰えんってことくらい。でも、生きてるだけで偉いとかほざくんやったら、生きてるだけで一定のお金が発生しても良くない? と思うわけ、私は。
生きてるだけで偉いって言うんなら、最低限生きるのに必要な金はどっかから湧いて出てもええのになって思う。そんなこと言っても、湧いて出てこんけどね。
出来ることなら働きたくない。だってしんどいし。新しい仕事を覚えるのもしんどい、失敗したら謝らなきゃいけないのもしんどい、期日とか締切とかに追われるのもしんどい、人間関係もしんどい、学歴で給料変わんのもしんどい。
仕事をサボろうかと考えて、サボるのにもお金がかかることに気付く
ある時、猛烈に仕事行くのが嫌になって、サボっちまおうかと思った。ベッドの上で、もし仕事サボったらどうしようかなって考えた。昼まで寝て、お腹が空いたら飯を食い、休日は混んでるカフェに行って、最後はひとりカラオケにでも行ってみようかな。ええやん、何その充実した休日。めちゃめちゃええやん。
そこまで考えてひとしきりわくわくして、丁度脳が起床し始めた頃に気付く。いや、そんな金どこにあんの? って。
昼飯を食うにも金が要る。自炊したくないなら尚更。カフェに行く交通費も要るし、カフェで何も注文せず座ってるわけにはいかないからそこでもお金が要る。カラオケなんか、一人でちっちゃい部屋に閉じこもってるだけのくせにめちゃくちゃ高い。
サボるには、お金が要る。忙しなく動いている時よりずっと沢山のお金が要る。娯楽、趣味、嗜好品は、貧乏人を慰めてくれない。だって、高いから。ひと時の楽しみを味わうために、結構莫大な金がかかるから。
ベッドの上に転がったまま、私は考えるわけ。あーそういうことかと。働くってのはつまり、そういうことなんだよなと。どんなに働くのが嫌でも、『仕方ない』という考えに至って渋々出社するのは、『楽しみ』を買うため。自分をたまに甘やかすため。私は、心おきなくサボるために、仕事に行ってる。
仕事で手に入るものは最終的に金だけじゃない
まあそうは言っても、仕事ってのはなんやかんや悪いことばっかじゃない。そら行くのは嫌だけど、仕事行ってたから学べたこともいっぱいある。そのうちの一つが、『でかい声で褒めること』。自分のことも、相手のことも。声に出して大袈裟に褒めるってことは、上司から学んだ。上司はそれはもう清々しい人で、些細なことも『素晴らしい』とか『最高』とか『上出来』って言葉で褒め散らかす。いつしかそれが伝染って、私も口に出してそう言うようになった。そしたら、幾分か作業速度が上がった。凄い。
のろのろベッドから出て、大袈裟に自分を褒めてみた。起きれたんや、自分。もうそれだけで上出来やない?
昨日ネットで見た、ちょっと高いコンビニスイーツを思い出す。あれ食いたいな。何時間働いたら、あれ買える分の金になるかな。
サボりたいから、仕事行く。金のために、仕事行く。別にそれでもええと思う。だってどうせ、最終的には手に入るものは金だけじゃなくなるし。後々ついてくんのよ、人に言える理由なんて。