「距離置こうって言われて、それから連絡ないんだ」

2歳差の姉に「最近彼とどう?」って聞いたら、思いがけずこんな返事がきた。
「あ、そうなんだ、自然消滅ってやつ?」
「わかんない。別れたかどうかもはっきりしてないし」
「え、未練ないの?」
「連絡取れないからなんとも」
「ふーん」
その時の姉はさらっとこう言ったから、そんなに未練ないんだなって思ってた。
でも、違った。妹の前で強がってることに気づいてあげられなくて、ごめん。

姉に対して発した言葉が、頭の中で突然姿を現した

4ヶ月後。私に同じことが起きた。
正確に言うと、私ははっきり別れを告げられ、その別れの連絡が一方的に来てから、何を送っても返事がなかった。でもそんなことは重要ではなくて、とにかく音信不通になった点では共通していた。
私は、姉に話せなかった。というより、人に話すことで現実になってしまう気がした。自分で別れを認めてしまう気がした。
だから「振られた」なんて絶対に、口にしたくなかった。

突然別れを切り出されたこと、理由がわからないこと。どちらも辛かったけど、連絡がつかないことが1番こたえた。自分自身を拒絶されたように感じた。
そして「自然消滅? 未練ないの?」という、以前私が、姉に対して発してしまったデリカシーのない言葉が、頭の中で突然姿を現した。
そして、心から後悔した。本当にごめん。

音信不通の状況がどんなに苦しいかがやっとわかった

連絡が取れない、別れたのかどうかすらわからない、何しているのかもわからないという、音信不通の状況がどんなに苦しくてやるせないのか、自分が同じ状況になってやっとわかったし、同じ状況にならないとわかってあげられなかったことに、責任を感じた。
もしかしたらあの別れは、人の痛みを分からなかった、寄り添うことができていなかった私へのメッセージだったのかもしれない。この気づきがあっただけでも、私にとって大切な経験であったと、今は言える。

ただあの日から、決して終わらない「別れ」というマラソンコースが、勝手にスタートしてしまった。
良いスタートダッシュを切ろうと、いつの間にか、自分を痛めつけることで、心に残った痛みを自分のせいだと認識させてた。
相手を美化して、納得いく理由なんかあるはずないのに、理解なんかできるわけないのに、そのあるはずのない理由を一生懸命作りあげて、理解しようとしてた。

2人とも笑い話にできるまで、ゆっくり立ちあがろう

でも違う。このマラソンには、まず思いっきり泣いて、悲しむ時間が必要だった。自分には正直になるべきだった。強がるんじゃなくて、悲しい、しんどい、悔しい、なんでこうなったの、なんで逃げるのって、悲しんで傷つく時間をあげるべきだった。
傷つかなきゃ立ち上がれないんだから、平気なふりをするんじゃなかった。
ごめん、わたし。
しんどかったのに、しんどいって言わせなかった。言わせないようにしてた。
悲しむ時間をあげられなくて、悲しみに向き合おうとしなくて、本当にごめん。

最後に姉へ、もう一度。本当にごめん。
いちばん近くにいたのに、いや、いたから。「ごめん」の一言が、素直に言えない。

いつか、どれだけかかるか分からないけど、2人とも笑い話にできるようになったら、その時に心から謝らせてね。それまではゆっくり、一緒に、2人で。でも、それぞれのペースで。立ち上がっていこ。