「むーちゃんは何で働いているの?」
アルバイト先で問われたパートさんからの一言。
「何か買うため?それとも、どこか行くため?」
私はきっと戸惑った顔をして、
「うーん。何ででしょうね。」と笑ってごまかした。
17歳の夏の出来事だった。
不登校から通信制へ転校。バイト先は温かで心の充電が溜まるのを感じた
私は普通の高校生だった。しかし、様々な悩みを抱えすぎてしまい、2年生を終える頃には不登校となった。留年する訳にもいかず、3年生から通信制の高校に通い始めた。大学受験はする予定だった為、塾には通っていたが、時間はたくさんできた。「社会復帰したい」という思いもあり、履歴書を買った。当時の私は高校へ毎日通わなくなり、社会から取り残されてしまうような不安を抱えていた。人と関わる事が極端に減り、焦っていたのかもしれない。
アルバイト先は友達に紹介してもらい、すぐに決まった。幸い、店長さんは私に寛容だったため、優しくサポートしてくれた。一緒に働いてくれる主婦の方も優しい人ばかりだった。心も体も傷つき、人間不信だった私には温かすぎる職場にたどり着いた。私がミスしても、一緒にお客様に謝ってくれたり、「大丈夫だよ。」と声をかけてくれた。いつもみんながニコニコしていて、楽しかった。働いていくうちに心の充電が溜まっていくような気がした。
ついに果たした社会復帰 それでもアルバイトを続ける理由は
徐々に自信がつき、それなりに仕事も出来るようになった。大学受験も塾の講師の方々のサポートのおかげで、無事合格し、私はついに大学生になった。「社会復帰」という目的を果たす事が出来た。しかし、私はアルバイト先で働き続けた。なぜだろう。
大学入学後、通っていた塾と同じ系列の塾の講師のアルバイトも掛け持ちでする事になった。とても厳しい世界だったし、「生徒の将来を左右するかもしれない」という責任も大きかった。しかし、私は努力した。塾の講師は憧れでもあったが、一番の働く理由は違った。
ボロボロな私が大学に入学できたのも塾の講師の方に支えて頂いたおかげ。通っていた塾に感謝しているから、私は働き続けられた。私も私みたいな生徒たちを支えたい。そして、塾に恩返ししていきたいと心から思っていた。
「恩返し」という理由があったから働き続けられた だからこれからも
私が働く理由、働き続ける理由には「恩返しをしたい」という気持ちが大きかった。社会復帰できたのは、1つ目のアルバイト先や塾のおかげである。精神的にも身体的にも元気になれたのはこの2つに私の居場所があったからだ。支えてくれた方々のために私には何が出来るか?私はこの2つの場所で働き続ける事を選択した。行動で感謝を示したかった。だから、今まで続けられたし、学生生活最後に「もうやりきったなぁ!」と達成感を感じている。
来年度は新社会人として働く。「私が働く理由は何?」お金や経験、自分のスキルアップ、お客様の笑顔、社会貢献など、たくさん出てくる。働く理由があるから働き続けられるのかもしれない。
だから、私は「働く理由は何?」と、問い続けながら、働いていきたい。