『俺は女子高生が好きで高校教師になったんじゃない』
これは、私が高校三年生の大学受験の時に悩んでいた際に担任(男性)に言われた一言です。
特に夢もなく、行きたい大学(社会学部)の受験に落ちてしまい、唯一の特技であるピアノで児童教育学部を受けるか迷っていた時に言われました。正直、小さな子どもと触れ合う時がなかったので、子どもが好き!先生になりたい!幼児教育を学びたい!といった熱い思いがなかったのです。

進学先に抵抗があった私に、担任が言ったのは…

児童教育学部といえば、幼稚園教諭免許や保育士資格を取得することがメインであり、それに向けての勉強や実習をする為、専門的な授業も多いため、“先生になりたい!”といった熱く強い思いがない状態で児童教育学部を受けることに抵抗がありました。

しかし、今の時代は手に職をつけることや、資格を取ることが将来自分の為になることもわかっていました。実際、私も大学では何かの資格を取りたいとは思っていました。でも、心のどこかで「児童教育かぁ…相手は子どもかぁ…」と思っていました。児童教育に進む人や、幼稚園や保育園で働く先生の中に子どもが好きじゃないと思ってる人は居ないイメージが強かったからです。

しかし、そんな私に担任は『俺は女子高生が好きで高校教師になったんじゃない』と言いました。
確かにそうです。むしろ女子高生が好きだからという理由で高校教師になっているとなると、それはそれでみる目が変わってしまいますよね。

続けて担任は、『老人が好きで老人ホームで働いてる人もおらんやろ。理由とかはそれぞれ違うし、やりがいはやってから感じるものや。俺は文学が好きでそれを毎日考えてたいから、国語の教師なんや』と言いました。

こんなに楽しくてやりがいのある仕事だとは!

今まで他の人に児童教育の道を勧められても前向きになれなかった私ですが、この担任の一言はスッと心の中に入っていきました。
そして私は得意のピアノの実技入試で児童教育学部を受験し、合格しました。そして勉強と実習を重ね、卒業後は私立幼稚園に就職しました。

大学入学当初は、周りの“これから勉強して先生になるんだ!”という熱量の差に正直悩む時もありました。こんな私が先生に…?一般企業を受けて就職しようかな…?とも考えました。
だけど、高い学費を払って取得した資格をせっかくだから使いたいと思い、ご縁のあった私立幼稚園に就職しました。

就職後は、それまでの考え方と180度変わり、子どもたちが可愛くて可愛くて仕方のない毎日でした。この子達にもっとこんなことを教えたい!知って欲しい、感じて欲しい!と、日々のカリキュラムを考え、毎日を過ごす事が楽しくて楽しくて仕方ありませんでした。

子ども達と過ごす毎日は体力もいりますし、保護者の対応や園の仕事等、子ども達と遊ぶだけが仕事ではないので疲れたりしんどい事もたくさんあります。(ついでに女社会なので人間関係も大変ですが…(笑)
けれど、それ以上にこんなに楽しくてやりがいのある仕事だとは全く想像してませんでしたので、児童教育の道に進んで良かったと心の底から思います。

あの時の担任の助言には感謝しかない

あの時に私に『俺は女子高生が好きで高校教師になったんじゃない』と助言してくれた担任には感謝しかありません。
きっと、『いや、とりあえず行ったらええやん』とか、『その道行っとき!!』と言ったような言葉だったら違う道を選んでいたと思います。強制することもなく、実体験を元に、最終的に私が幸せになる道を勧めてくれた担任は素晴らしい教育者だと思いました。

私もいつか、その担任のように一人ひとりの個性に向き合い、おこがましいですがそれぞれの人生が豊かになる小さな手助けをできたらいいなと思います。
ちなみに、今の私は子ども大好きです!