私には夢があった。
正確には、その夢は今も続いている。

私は彼にとって「初めての人」彼は会えば会うほど、私を求めた

彼はそのときたった18歳で、私は23歳だった。文字だけ並べたら、23歳は十分若いだろう。でも、18歳という悪魔のような若さを前に、私は自分の年齢に自信が持てなくなっていた。

一度も染めたことがない黒々とした黒髪、色素の薄い茶色の瞳が、すべて私のものだったときが、もう随分と遠い昔のことのように思える。

彼にとって、私が「初めての人だ」と言っていた。経験のない男は、下手くそなのかと思ったが、十分すぎるくらい上手だった。

いわゆるチェリーボーイだった彼は、今まで溜め込んでいた欲を吐き出すかのように、会えば会うほど私を求めた。私はそんな彼が心配で、だけど愛おしくて、なんだかちょっと面白かった。年下の男の子というものは、こちらのネジが外れそうになるほど可愛い。

「就職したら結婚しよう」とあまりにも若く眩しいその言葉

彼は大学に入った。人生初だという塾のバイトを始めて、バンドとスキーのサークルに参加し、とにかく毎日生きることに忙しそうで、楽しそうだった。一方、私は毎日会社と家の往復で、営業先の口の悪いお客さんに作り笑顔を渡し、代わり映えしない毎日を過ごすばかり。

会うたびに新しい話題が溢れる君とは違って、私の話せることは仕事の愚痴くらい。情けなくて、ちょっぴり切なくて、何よりイライラした。理解ある年上の女というものを演じるのは、心の底から疲れる。

私は彼に「好きだ」とよく言葉で伝えた。彼も私を「好きだ」と言った。お互いに欠けたピースをはめようと必死になるように、外でも構わず口づけをした。求めていた。

だって私たちには、あまりにも共通点がなさすぎる。「就職したら結婚しよう」と口癖のように何度も約束した。あまりにも若く眩しいその言葉に、私は耐えきれず幾度となく涙を流した。そんな日は来ない。そんな日は来ないのよ。

だって、彼はまだたったの18で、私は23だもの。私が27になったとき、彼はまだたった22で、これから世界を知っていこうという彼がたったひとりの女を選ぶことは、恐ろしいくらい難しいことでしょう。

さようならを渡したのは、彼からだった。理由はしょうもない。大学が忙しくなって、どうのこうって言っていた。本当は一字一句正確に記憶しているけれど、思い出すのも億劫なくらい、とにかくしょうもなく馬鹿みたいな理由だった。たった9か月ぽっちの短い恋。

まだ23歳だった私を老けさせたのは、紛れもなく彼だった

まだたった19になったばかりの彼にとって、この恋はたくさんあるうちの恋のひとつ。記憶にも記録にも残らない。「またいつか会いにくるから」と言ったけど、そんな台詞も吐き気がするほど若い。

私も十分若いのに、私を老いさせたのは紛れもなく彼だ。憎しみを抱けたら、どれだけ楽だろう。でも、そんな負の感情も少したてばきっと消え失せる。

私には夢があった。彼が花を持ってきて、私の家の扉を叩く。もしくは、はじめて口づけを交わした海が近くにある懐かしい公園で、また手を重ねる。あるいは、想像もつかないような物語に運命が変わっていく。

私には夢があった。馬鹿馬鹿しい夢であり、愛おしい夢だった。
私は25になった。その夢は今も続いている。