「自分が選んだものに後悔なんてない」
とある好きなアーティストの曲を聴いていた時にこの言葉が耳に入った。
大学受験に失敗。進学しても、またコンプレックスを抱くことに
私は過去に挫折経験があるため、そのことについて未だに引きずることがある。
なぜ、自分はあの時こうしなかったのだろう、あの時違う選択をしていれば未来は違っただろうに……と。私は自分の心の中に常に「なぜ、なぜ……」と己の選択を責めるような問いかけを繰り返していた。後悔をしたところで現状が変わるわけでもないのに、過去に戻ってやり直したいとそう強く願っていた。
18歳の時のことだった。当時の私は大学受験に失敗してしまいどこにも行くあてもなかったため浪人せざるを得なかった。今よりも多感な時期であり、毎日毎日自分の価値ってなんだろう……と希死念慮に駆られていた。涙を堪えながら予備校に行き来していた日々も今となっては懐かしい話である。
1年の月日を経て私は大学に進学することになったが、第一志望校には入学できなかったため、私はまたしてもここでコンプレックスを抱くことになるのである。
元々、勉強も得意な方ではなく音楽やデザインなど芸術関連の分野に興味を持っていた。ただ、進学校に通っていた当時、大学受験をするのが当たり前という雰囲気に流されて深く物事を考えず、「大学には進学するものだ」とぼんやりと考えてしまっていた自分がいた。
そして流されるがままに進学し今に至る。大学に進学し上京して数年経った今でも、あの時浪人せずに現役でどこかに通っていたら、専門学校に行っていたら、いっそのこと高校を出てすぐに働いておけば……などと主に進路について自分の選択を後悔してしまうのだった。
同年代のK-POPの曲に感銘。“我が道を進む”メッセージ
毎日これからの人生や生きることに漠然とした不安を抱えていた。
そんな時、あるアーティストに出会ったのだった。
あれは忘れもしない2020年9月22日のことだった。韓国のStray Kids(ストレイキッズ)というグループだ。それまでK-POPに興味を示さなかった私であるが、たまたまネット上で彼らの音楽を聴き衝撃を受けた。
彼らは自分たちで曲を作っていて、なおかつメンバーの年齢層が1997~2001年生まれと自分と同年代であることに尊敬の眼差しと親近感を抱いた。
彼らの音楽にはメロディや音源が優れているだけでなく、歌詞にもメッセージ性が込められている。Stray Kidsの曲の中に『Easy』という曲がある。この歌はR&Bサウンドに不思議なメロディが合わさった曲なのだが、特に私はこの曲の歌詞に心を打たれた。
“我が道を進む”といった力強いメッセージが込められているように感じる。
同世代の彼らが発信するメッセージに私は勇気をもらった。
彼らの音楽に出会って私は今までの自分と区切りをつけることができた。
未来の自分にしか、選択が正しいのか間違っているのか分からない
人生にはタイミングというものがあるのだろう。
私はこれまでずっとネガティブに生きてきたが、考え方を変えるだけで少しは生きやすくなった気がするのだ。心の中でずっとモヤモヤとして複雑に絡まっていた糸がスッと解けたような気がした。私が今こうして大学で学んでいることも、上京して環境が変わって新しい出会いがあったことも、紆余曲折はあれど全てが繋がって自分を作り上げていくのだ。
「自分が選んだものに後悔なんてない」というメッセージに励まされた気がした。
これから先の人生で、たくさんの“選択”をする場面と私は向き合わなければいけないだろう。
その選択が正しいのか間違っているのかは誰にも分からないし、未来の自分にしか分からない。
ただ、どんな未来が待ち受けていようと自分の選んだ道に後悔だけはしたくないと強く望むようになった。この言葉に出会えて、私は幸せな人間なのかもしれない。そんなことを思った。