3歳位からの幼馴染がいる。
幼稚園の頃からずっと好きだった。幼稚園も小学校もずっと同じクラスで、背が一番高くて優しくて、でもちょっと頼りないところが彼らしくて、大好きだった。

卒園の思い出の【すきなおとこのこ】は彼の名前が書いてある。先生はいちいち聞かなくても知っているのに、個人文集に書くためナイショ話で教える時、恥ずかしくて違うおとこのこの名前を言ってしまった。でも後で「せんせい、ほんとうはね…」と幼馴染の彼の名前を言いに行ったのを、今でも鮮明に覚えている。

その時、彼は私ではない【おんなのこ】の名前を言っていたのを彼のお母さんから聞いた。その子は年長組に途中から転園してきて、飛び抜けて可愛かった。
…その子が来る前は私が好きって言ってくれていたのに。
でも、私はその子が転園してきた頃から一緒に遊ぶようになって、大切な親友だと思っていた。だから悔しいけど、悲しいけど、恨むことなんて出来なかった。

親友とは別の小学校になるし、また彼も私のことを好きになってくれるんじゃないかな、と甘い期待を抱いていた。

距離を置き、他の人を好きになり、告白され・・・。すれ違う想い

バレンタインチョコはその頃から家に行って渡していた。

けれど、小2の時、学校で渡した時に「こういうのはやめてほしい」と告げられた。
小学校では幼馴染ゆえの“アイツら、もしかして”というからかいが恥ずかしくて、ちょっと距離を置いていた。
私はもちろん好きだったけど、その頃彼がどう思っていたのかは今でも知らない。
でもその一言で、「もう好きでいちゃダメなんだ」と幼心に深く傷つき、気持ちをひた隠すようになった。

それからはクラスメイトのひとりとして接して、中学生となった。
中学校で初めてクラスが別々になったけど、男女で分かれているものの同じ部活に入り、いつも近くにいる存在に変わりはなかった。

中学で初めて、彼と別の人を好きになった。心の奥では彼のことを想っていたけど。
でもその恋は叶うことがなかった。そんな中、突然幼馴染から帰り道に呼び出されたのだった。

そして、告白された。
結論から言うと、私は「友達のままでいて欲しい」と手紙で答えた。
どんな時だって、ずっとずっと彼のことが好きだったから、OKしか答えはないはず。
でも、小学校でのあの“からかい”で、彼が嫌な思いをしてしまうのではないか、という不安と、今さらなんで?という戸惑いから、振ってしまったのだ。

あと、その時の私もまだ甘い期待で「またきっとチャンスはある」と思っていた。

お互い、別の人と結婚した。あの時私が「YES」と答えてたら・・・

その後、別々の高校へ進学して、お互い連絡先を知らないでいたけれど、大学生のある日、中学の部活友達を通じてまた仲良くするようになった。
あの一件以来、気まずくて全く話すことなく卒業してしまい、再会の日はとても緊張したけれど、彼は優しい幼馴染のままだった。
「…なんか、避けててごめん!」と勢いのまま謝った私に「??なんのこと?ま、とりあえず!久しぶり。」と握手をしてくれた彼。
なんのことかなんて、知ってるくせに。

今ではお互い、社会人になってから出会った相手と結婚している。
互いの結婚式に出て、素直におめでとうと言える仲になった。
たまに飲みに行くと、言いたいことも言い合って、お互いのダメなところを知ってるからちゃんと指摘しあって。最後はケラケラ笑いながら帰って。

あの時、私が「YES」と答えてたら、結婚できていただろうか?何となくだけど、できていないと気がするから、結果オーライなんだと思う。
今は誰からもからかわれることなく、「超うらやましい幼馴染」と言われるし、何でも話せる彼にはすごく感謝している。