高校一年生のまだ学校にもなれない頃、隣のクラスの友達の元に行くと、教室に彼がいた。初めて彼を見つけた。息が詰まった。友達と何を話していたのかもわからなくなった。その後、彼は友達のクラスの中で一番人気の男の子なのだと知った。クラスも違う私なんか見向きもしないだろうな、臆病な私はあの時の感情に気づかないふりをした。
高校一年の夏休み最後の日、私たちは付き合った
そんなある日、その彼からラインが来た。内容は特に無くよろしくね程度だったが、胸が飛び跳ねた。友達に向こうに気があるのではと言われたが私は喜ばなかった。期待をして傷つくのが怖いからだ。しかし、それから連絡は毎日のように取るようになっていた。学校でも話すことが多くなってきた。毎日2人の距離は縮まっているように感じていた。しかし、夏休みに入り彼とは会えなくなった。
そんなある日、彼から映画を見に行こうと誘われた。その日のことは今でも鮮明に覚えている。高校一年の夏休み最後の日、私たちは付き合った。
それから毎日彼のことで頭がいっぱいで、彼のことが大好きだった。しょうもない嫉妬で何度も喧嘩もした。それでも大好きだった、彼無しでは生きていけないほど愛していた。
彼は結婚相手に相応しいのかを考えるようになった
いつのまにか時間は経ち、気づけば大学生になっていた。大学では離れ離れになったが、2人の関係は良く、週に一回程度のデートは初めて付き合った時と変わらず、おしゃれをして化粧もふだんより気合いを入れていた。2人でお金を貯めて旅行にも行った。人生最高の幸せな時間だと思った。会える時間が、一緒にいる時間が本当に幸せだった。
しかし、人は時間と共に変わっていく。彼は空いている時間をゲームに費やすようになっていた。昼夜逆転しており、日中に活動する私とは徐々に時間のずれが出てきた。連絡も1日数回しか取らなくなってきた。私は大学生で友達の輪も広がり、色々な人と出会い、色々な恋愛を見たり聞いたりするようになった。結婚も考えるようになってきた。
そんな時、彼は結婚相手に相応しいのかを考えるようになった。私は早く結婚したい願望があり、そうなると結婚願望も無い彼では結婚する時期が遠のくのは目に見えて分かった。好きだけでは上手くいかない事は分かっていた。しかし私は彼から離れることが出来ずにいた。
あの時別れなければ今頃どうなっているのだろうか
そんな時、友達が彼氏と同棲や結婚、将来の話をしていることを聞いた。私は焦った。早く結婚したいが、彼とではそれは叶わぬ夢であること、どちらかを選ばなければならないことの現実を目の当たりにした。そして私は彼では無く、早く結婚することを選んだ。付き合って3年記念日を目前の大雨の日に私は彼に別れを告げた。
それからは後悔の日々だった。毎晩のように泣いた。別れたことを後悔した。しかし、その気持ちは時間と共に薄れていた。新しい彼氏もできた。しかし、どの人と付き合っても彼以上に好きだと思う事は無かった。過去に戻る事は出来ないが、あの時別れなければ今頃どうなっているのだろうか、あの時の私の選択は正しかったのだろうかと自問自答する日々が続いた。
あれは試練だったのだ、私が今の彼と出会うための
今は彼と別れてもう3年は経つ。私は社会人になり今彼氏がいる。今の彼のことは本当に大好きだ。結婚も考えている。彼と出会うために、あの辛い別れがあったのだとも思う。あれは試練だったのだ、私が今の彼と出会うための。本心でそう思っているのか、そう言い聞かせないといけないほど私は彼のことが未だに忘れられないのか、どちらが正しいかはわからない。分からなくてもいい。考えないでおくことにした。
友達伝てに聞いたが、彼はいま彼女がいるがそれでも私の事はみんなとは違う、特別な人だと話していたそう。私もそう思う。未だに彼は友達でもただの元彼でもない。特別な存在だ。