私が今まで付き合った人数は、ギリギリ片手に収まる。
そのうち2人は今や消したい過去だ。
朝のメール。いつも通りに返信をし、いつも通りのやり取りを
まずは高校時代、紹介で付き合った年下他校生の元彼Aのこと。
彼はスポーツ推薦で入学し、新幹線で3時間程の所から遥々1人地方へ出て寮暮らしをしていた。今まで視野に入れたことのない年下の男の子だったが、親元を離れたこともなく甘えていた私には、その決断をできる彼を凄く立派に感じた。また、心許ないだろうに少しでも頼って貰えたらなと、まだろくに有りもしない母性が湧いた。
初デートは小さな雑貨屋に入り、互いの誕生日が刻まれたテディベアのキーホルダーを買いあった。今思えば、まぁ何と可愛いこと。そして通学バッグにつけ、見る度に微笑ましい気分になるのだった。
時は私の誕生日。高校生の頃は誰かのイベント日になった瞬間におめでとうメールをよく送っていたし、送ってもらったものだ。彼にもあわよくばと思いつつも、部活が大変そうでいつも寝る時間が早かったため、そこまで期待はしていなかった。そして朝、いつも通りにメールが来た。いつも通りに返信をし、いつも通りのやり取り。
・・・ん?いつも通りじゃダメじゃないか?
そして、私の17歳の誕生日が終わった。
翌日。
「私昨日誕生日だったんだけど」
「え・・・ごめん・・・でも・・・忘れてたわけじゃないよ」
はい?嘘をつくなら上手におっしゃい。呆れ返った私の気持ちがカチンコチンに冷めてしまったのは言うまでもないだろう。
誕生日を忘れられ、私は彼をふった。
信じられない屈辱。どちらかというと私がふる方なんですけど!!!!
次は、高校から付き合いって、大学から遠距離恋愛となった元彼Bについて。
大学進学と共に彼は隣の地方へ、私は地元に残った。会えない日々が続き、互いにメールもポツポツだった。
そして時は私の誕生日。内心、今日ぐらいガッツリなメール来るよね!と期待。
・・・来なかった。1通も来なかった。
そして、私の19歳の誕生日が終わった。
日が変わってすぐに誕生日だった事実を告げ、
「おめでとうの5文字も言えないのか」
と冷たく放った。眉間に皺を寄せながら、ヤケクソで眠りについた。朝起きると、彼はあっさりと忘れていた事を認めて大いに反省し、陳謝した。携帯電話の画面上で。
何とか気持ちを切り替えてこの日も学校へ。大学の授業中、ブーブーと携帯のバイブが鳴った。机の下でコソコソと内容を確認する。彼からメールだ。
「俺にはお前を幸せにできない。別れよう」
はい~??ちょっと待ってください??どちらかというと私がふる方なんですけど!!!!何この屈辱信じられない!!!!ていうかまだ1限目なんですけど~~~~~~
誕生日を忘れられ、私は彼にふられた。
誕生日までの時間も、想いを巡らせてくれていた、その事実が愛おしい
何だこの始末は。2人連続で彼女の誕生日を忘れるだと!!?
若いカップルにとって、◯ヶ月記念日なんてのもちょっとしたイベントだった。しかし最も尊い記念日は、相手の誕生日だ。それを忘れるとな。しかも2人連続で!!?男運、というよりも、男を見る目の無さに、自分が情けなくなった。
そんな中、新たな出会いが・・・
数ヶ月後、Cとの付き合いが始まった。同じ大学の同級生だ。
初めて迎えた誕生日はプレゼントのバッグに可愛らしい造花を沢山敷き詰めてくれた。
2回目の誕生日は付き合った当初からのアルバムを作ってくれた。
不器用ながらも一生懸命に私を想ってくれる人だ。当日だけでなく、そこに辿り着くまでの時間も想いを巡らせてくれていた、その事実が何より愛おしい。
そして付き合ってから迎える私の5回目の誕生日。プロポーズを受けた。全く予期していなかった。びっくりして、何よりも嬉しくて、涙が出た。手が、声が、震えた。人生で最高に幸せな瞬間が、突如誕生日に訪れた。
元彼2人よ、お陰様で私は幸せ者です。
誕生日をすっぽかしてくれて、本当にありがとう。