未来のわたしへ

私の弱さが、彼の言葉を引き出してしまった。
ここだと思って開けたそこには、必要としていなかった言葉が並べられていた。LINEの通知があれ程までに嬉しかったのは、いつの話だろう。

緊急事態宣言が発令され、会えなくなって、私たちの心は離れていった

半年付き合っていて、折り返しだと思っていた時にやってきた緊急事態宣言。会えない理由は、これ一択だった。

周りの学生カップルは、頻繁に会ってInstagramにアップしているのに、私はアップしない主義だったが、ふとした友達の投稿に心が傷つく。

相手は社会人。忙しい中会ってくれているのにも関わらず、私はわがままだったのかもしれない。「今度はいつ会える?」を繰り返し、2ヶ月は会えない形になった。電話もくれない、返信もくれない、ここから私の言葉のボギャブラリーが減っていったのだ。

最初は強気に「いつ会えるの?」と聞いていた言葉は少なくなり、コロナが終わればという心構えになったが、いつの日か彼の返信が来ない日が多くなった。忙しいのはわかる。わかるけども、3日も返信がないのはどう待てば良かったのだろう。誰か教えてほしい。

この時、私は「なんで返信してくれないの?」と言ってしまった。一番聞いちゃいけない言葉だったのかもしれない。しかし、その言葉に導かれてしまうほど、私は彼に飢えていた。そう、彼を中心とした生活を送っていた。この時は考えもしなかった。「別れる」という事を。

2日後に彼から来たLINEの返事は「別れの言葉」だった

でも、ある日唐突に表れた「露生といる資格が僕にはないから別れよう」言葉は彼からだった。

唐突すぎた、これは2日間返信が来なかった末の返信である。一瞬私を思っているかのように思えたが、結局は自分が私という存在を必要としていないから出た答え。つまり、私は彼の人生に不必要な存在になった。

ただ、それだけ。のはずだったのに、簡単に分かったはずなのに、軽く突きつけられたその言葉は深く私の心に突き刺さり、なかなか癒えることのない傷になった。早く、早くと思っているうちに、また彼の返信が来るかもしれないと願ってしまった自分が、とても憎くてたまらない。

人生の半分にも満たない時間を過ごしただけなのに、こうも私の心に深く残ってしまっている。私の心は幼稚なのだと、別れた今痛感する。

最初は友達としてLINEをしていたがそれもなくなり、過去を振り返る。戻れないと思いつつも、彼は「コロナが終わったら飲みに行こう」と告げた。

それを何故、付き合っているときに言ってくれなかったのだと、今になって腸が煮えくり返りそうになる。しかし、もう返信がないわけだし、振り返っても仕方ないとは思いつつ新たな出会いを模索する。

彼にふられて、良かったことや悪かったことを思い出しながら筆を執る

コロナで友達にも会えない、外に出ることもできない。彼に傷つけられた痛みは、自己治癒力で少しずつ回復傾向にあるが、この文書をしたためている時にもふと思い出す。良かったこと悪かったこと、渡せずじまいだった彼への誕生日プレゼントを眺めながら繰り返す。

私はどの引き出しを開ければ、正解だったのか。私がいけないのか、それとも彼がいけなかったのか。そう自問自答しているだけでは、答えは誰も教えてくれない。そして、教えてくれる人もいない。

そんなことを頭の片隅で考えて、このエッセイを書き終えるのだろう。
彼の返信が7日前の夜より。