「何で働かなきゃいけないの?」
就活がなかなか上手くいかなかった大学時代、よく周りにこの質問をした。お金を稼ぐため、生きていくために必要、大手の会社に入って親を安心させたい…どの理由もピンとこなかった。何のために働くんだろう。何で働かなきゃいけないの?
子どもの頃からの私の夢は笑われてきたけど、変わることはなかった
私は子供の頃からディズニーランドで働くことが夢だった。
物心ついた時からディズニーが大好きで、信じ続けていれば夢は叶うって、たくさんの夢と希望をもらってきた。いつしか私も、人に夢と希望を与える側になりたいと思うようになった。夢を持った、それからが大変だった。
学校で将来の夢を聞かれるたび、私の夢はディズニーランドで働くことって言い続けた。
周りの反応は様々だった。同級生から笑われたり、もっと人のためになる仕事に就きなさいって言われたり。大人になれば考え方も変わるよって言われて、確かにそうかもなあって私も思っていた。
しかし、私の夢は20歳を過ぎても変わらなかった。
あっさりと絶たれた夢。でも、やっぱり諦めきれなかった
大学4年生になり、早い人は内定をもらい始めていた6月、私は人生最大の挫折を経験した。東京ディズニーリゾートを運営しているオリエンタルランドの選考で、落ちたのだ。しかも一次選考で。小学生の頃から思い描いた夢、絶対叶うって信じ続けていたのに、道は断たれた。
それからというもの、私は何のために面接で一生懸命話して、仕事を探さなければならないのか、全く目的が分からなくなった。他にやりたいことなんて無いのに、何で働かなきゃいけないの?
周りに遅れを取りながらも、無事私はサービス業の仕事に就いた。幸運なことに一緒に働く人に大変恵まれて、社会人としてのマナーや接客業のいろはをとことん学んだ。接客はとても楽しかった。お客様が喜んで笑顔になってくれることが嬉しかった。だから、私の働く理由は…なんでだろう、やっぱり分からなかった。何のために働いているんだろう。
この時、やっぱり私はディズニーで働きたいんだなと思った。夢はまだ終わってないのかもしれないと。社会人2年目に入り、後輩ができて仕事にもだいぶ慣れてきた頃、私はある一つの挑戦を決心した。
ディズニーへの切符を手に入れる。執念ともいえる思いは、ついに
見つけたのは、アメリカのディズニーワールドで働く1年間のプログラム。アメリカなんて、と思ったけど、もし本当に本場ディズニーで働くことができるとしたら…?気付いた時にはエントリーボタンを押していた。
とはいえ、そう簡単に受かるわけがないと分かっていた。当然高い英語力が必須だし、日本全国から相当な応募があることは容易に想像できた。しかし、日に日に夢が膨らみ、ワクワクが止まらない。夜中に帰宅した仕事終わりでも、履歴書を書いたり英語の勉強をしたり、努力が全く苦にならない。少しでも夢に近づけるのならば。こんな気持ちは学生時代以来だった。
最終面接を終えた10月、一通のメールが届いた。メールの一行目には、「おめでとうございます。」ついに私は夢への切符を手に入れた。10年以上も諦められなかった長年の夢。もはや執念と言えるかもしれない。社会人4年目に入ってすぐ、私はアメリカへ渡った。
綺麗ごとじゃない。私が私らしく輝くため。それが、私の働く理由
本場ディズニーでの仕事は楽しいことばかりではなかった。長時間の労働、入社前と後のギャップ、文化の違い、人間関係。日本でもアメリカでも、しんどいものはしんどい。
ただ一つ違っていたのは、私自身の気持ちだ。どんなにしんどくても、これこそ私が夢にまで見た仕事だと思えた。私がしたことが、お客様の笑顔になって返ってくる。これほどの幸せはなかった。仕事でこんなに幸せを感じたことも今までなかった。この時の私は間違いなく、いつの時代の自分よりも、輝いていた。
働く理由はきっと人それぞれだろう。正解も間違いもない。しかし、「自分にとっての働く理由」を知ることはすごく重要だ。きっとそれは簡単なことではない。見つけるまで何十年もかかるかもしれない。でも、知っているのと知らないのとでは、きっと生き方が変わる。やりたいことがなくてもいい。好きな仕事じゃなくてもいい。そこに自分が働く理由があるならば。
私とっての働く理由。今の私は「私が私らしく輝くため」と答える。綺麗事にも聞こえるけど、この理由こそが、私が仕事を選ぶ基準となる。私らしく輝ける仕事をしよう。そう胸に刻んで、私は今日も働く。