幼い頃から、仲のいい子は男の子ばかりだった。もちろん、女の子ともそれなりに仲はいい。

そして、大学で初めてできた友達も男の子だった。みんなただ一緒にいる友達。恋愛とは、無縁の友達。

ただ仲の良い友達、それだけなのに、いつも恋人みたいに扱われる

15歳のとき、隣の席の男の子と仲良くなった。その子とわたしは、とても似ている。考え方も話し方も、身振り手振りも、なんなら好きな人のタイプも似ている。

いつからか、わたしたちはお互いが、双子の兄妹であるように感じていた。ずっとずっと知っているような、もう一人の自分を見ているような、そんな“兄”にような存在だった。

“兄”とわたしは、学校でも家でもよく遊んでた。いつも一緒にいるからか、友達はそわそわとしながら「付き合ってるの?」と聞いてくる。わたしは、いつも決まり文句みたいに「わたしたちはね、双子の兄妹なんだよ」と返していた。

兄妹ように親しい友達。それがわたしたち。ただそれだけなのに、いつも恋人みたいに扱われる。わたしは、それが嫌だった。

17歳のある日、“兄”に彼女ができた。すぐにわたしにも彼氏ができた。それでも変わらず、わたしたちは“兄妹”だった。教室ではいつも一緒にいて、お互いの恋人同士と4人でお昼ご飯を食べた。わたしたちは、本当に単に友達なのだ。

18歳の春、“兄”は進学のため京都に行った。わたしは地元に残り、“兄”には帰省のときに会うだけだった。けれど、会えば15歳の頃と変わらないわたしたちでいられた。

周りから聞かれる「付き合ってるの?」が、どうしようもなく嫌だ

わたしたちの共通の認識。それは、“男女の友情は成立する”ということだった。それは、子どもだからという理由じゃない。わたしたちは、男女という“くくり”じゃなくて、個体として、人として生きている感覚がお互いにあったのだ。

恋人に性別は関係ない。恋として好きになる人と、友として好きになる人は区別される。もちろん友達だったけれど、恋に変わるかもしれないし、その逆もあるかもしれない。でも、男女の友情がそのまま恋愛に結びつけられるのは、強引だと感じていた。それなら、いつも手を繋いで帰ってくれる女の子とわたしは、恋人だと直接結びつけられるのだろうか。

わたしが、その女の子を好きだったことに気づいている人はいないに等しい。恋している人を恋愛として好きなんだと、15歳のわたしたちは知っていた。

21歳のいま、無闇にわたしと“兄”の関係を聞かれることが、少し面倒に感じている。どうしてすぐに恋愛と結びつくの? どうして彼氏じゃないといけないの? どうして友達と言っても信じないの?

“兄”と6年間いる間に、周りからいつも聞かれる「付き合ってるの?」が、どうしようもなく嫌になってしまった。それでも、わたし以上にわたしを考えてくれる“兄”と離れることはできない。

“兄”も相変わらず、わたしと家族にも近しい友達として接してくれる。わたしたちが本当に“双子の兄妹”ならいいのにと思っている。

男の子だからって、誰でも「恋人」にしたいわけじゃないよ

わたしは、大学の友人も男の子しかいない。けれど、その人だって恋とは無縁の友達。なのに、恋人か聞かれることがほとんどである。

もしもみんなに言えるのなら、もしもみんなが聞いてくれるのなら、言わせて。男の子だからって、誰でも恋人にしたいわけじゃないよ。恋的に好きになって、愛したい人を恋人にしたいよ。たとえ、それが女の子だとしても。たとえ、それが男の子だとしても。その人だから、恋人になりたいんだよ。

だから、男の子とだってただの純粋な友達になれるんだよ。当たり前だけど。男の子と女の子にも純粋な友情があるんだよ。