私史上1番の大恋愛。高校の頃の推しメンと、社会人になって再会。トントン拍子で付き合った。

告白の時「結婚を前提に付き合ってほしい」と言われて、私の運命の人はこの人だって信じて疑わなかった。

私は「夢へ向かって頑張る彼を応援しよう」って誓った

思い返せば高校時代、彼のことは単に顔が好みだった。派手な髪色にピアス、ドラムなんか叩いちゃってやんちゃそう。だから、好きっていうより推しメンって感じだった。

社会人になってSNSのやりとりをして、ご飯に行くことになった。久しぶりに会う彼は、ピアスの穴は残っていたけど、黒髪の好青年に進化していた。話を聞くと、建築士になる為に勉強しながら設計事務所で働いているらしい。「一度しかない人生、やりたいことをやって生きていきたいんだ」って真剣に、でも照れながら話してくれた。正直、意外だった。

私はといえば、それなりに勉強して、それなりの大学に行き、それなりの会社のOLになっていた。本当はなりたいものもあったはずだけど、ワークライフバランスの取れた生活がほしかった。

安定っていうと聞こえが良いけど、やりがいなんてない。だからこそ、夢へ向かって頑張る姿に惚れた。私は、彼の夢を応援しようって誓った。

……はずなのに。現実は甘くなかった。

睡眠不足になっても彼に会えるだけで幸せ。でも、体は正直だった

彼の仕事は、週1回で火曜休み。残業が多く早く終わっても8時、日付超えることもしばしば。もちろん残業代は、ほぼつかない。週1の休みは、資格試験の勉強。それでも「勉強させてもらってる」って彼は言っていた。

最初は有休を使ったり残業を調整してもらったりして、時間をやりくりしていた。睡眠時間を削ってまで会っていたので、好きってパワーはすごい。会えるだけで幸せで、睡眠不足なんて気にならなかった。

でも、それは最初だけで、体はついてきてなかった。彼と会った後は、膀胱炎や胃腸炎を繰り返すようになった。

付き合って1年がすぎた頃からは、会う時間が減っていった。彼は仕事を任せてもらえるようになり、仕事が楽しくなっていたんだと思う。気付いたら夜しか会えない関係になっていて、フラストレーションが溜まっていく。

LINEは彼の仕事終わった報告と、私の「おはよう」って挨拶が繰り返されていた。「仕事頑張ってね」と打ったLINEに、気持ちがこもっていないのをスタンプでごまかした。「会いたい」って一言が、彼の仕事の邪魔になる気がして言えない。付き合いたては挨拶みたいに言えてたのになぁ。

会いたい気持ちを我慢していたら、不機嫌という形で噴き出してくる。この頃の私はイライラしたり、泣いたり情緒不安定だったと思う。彼は、ますます私に会いたがらなくなった。

夢に向かって頑張る彼が好きだったのに…黒い感情が溜まっていった

未来は、どんどん霞んで見えなくなった。いつになったら仕事落ち着くの? もし結婚しても生活リズムが合わないよ? 子供が出来たら、私1人で育てるの? 残業代つかなきゃ私は仕事を辞めれないよ? 仕事でクタクタの彼にぶつける勇気もなく、黒い感情がじわじわ蓄積していく。悪循環とはこのことだ。

夢に向かって頑張る彼が、好きだったはずなのに。気付いたら、安定した会社に転職してほしいと思っている自分がいた。

仕事ばかりの彼にも、彼の仕事を応援できない私にも嫌気がさして、別れを切り出すまでそう時間はかからなかった。彼は引き止めたが、別れを受け入れてくれた。

今でも彼のことは好きだし、尊敬している。でも、運命の人ではなかった。

別れた直後は思い出して辛くなったりもしたけれど、今なら心の底から言える。
お仕事頑張ってね。応援してるよ。