ずっと、かっこいい女の子に憧れていた。むしろ男の子に生まれたかったくらい、かっこよさは私の理想だった。でも、現実の私はそうではなくて、童顔で背が低くて、みるからに可愛い女の子で。
服装も、みんなからかわいいねといわれる女子アナウンサーの様な格好をして、仕草も可愛らしいさを意識して。本当はなりたいかっこよさを捨てて、可愛いね、似合うねを意識して生きてきた。

そんな私が、髪をバッサリ切ってショートヘアーにした。理由は多々あるが、病気が悪化してしまい、頭を洗うのが大変になったのが主な原因だった。正直、私にショートヘアーは似合わないと思っていた。ずっと、ロングが似合うね、女の子はやっぱりロングだよねを意識し続けた結果だった。

鏡に映るショートヘアーの私を見て「かっこいい」と思った

「できましたよ。」

美容師さんの一言で顔をあげると、そこにはショートヘアーの私がうつっていた。
正直、かっこよかった。今までなりたかったかっこいい女の子がそこにはうつっていた。「インナーカラーでシルバー系の色を入れました、色が落ちるとどんどん明るくなってくると思いますよ。」と美容師さんは言った。

今はまだよくわからないけど、きっと、シルバーのインナーカラーはかっこいいと思った。
それから、苦痛だった毎日の洗髪が楽しみになった。服も新しくかっこいいものを買って、理想だったかっこいい女の子を目指した。姿勢も良くして、歩き方もおどおどせずに、内股歩きもやめて立つ時は足を外に向けて。
そんな時、そんな私を地獄に落とすような一言が訪れた。「かっこよくなりたいねん」と彼氏に伝えた時だった。

受け入れてくれると思っていた彼に「可愛い女の子が好き」と言われた

「俺、かっこいい女の子より可愛い女の子が好きなんやけど。」
この一言が私に突き刺さった。正直、ショックだった。男の子受けしないのは分かっていた。けれど、彼なら受け入れてくれると思っていたし、理想の自分を否定されたようで悲しかった。

そこから私の迷走が始まった。かっこいい服装はしたいけど、彼氏受けも狙いたい。でも元々着ていた服は髪型の変化とともに似合わなくなっていた。
ではナチュラルなかわいい服装ならどうか、とりあえずアウターを買ってみた。手持ちの服と似合わない。もっとナチュラルなかわいい服が欲しい、でも全部揃えるにはお金がない。
そんなとき、私を救ったのは妹の一言だった。

救ってくれた妹の一言。これからはなりたい自分で生きていく

「今はお姉ちゃんのしたいようにすればいいんちゃう?今はかっこいい服揃えたんやし、もしかしたら夏になったらナチュラルなのが着たくなるかもしれへんし、変更はそれからでいいやん。」
確かにその通りだった。

私は今のかっこいい私を気に入っていたし、そもそも私は彼氏のために生きているのではなかった。彼のために、彼に気に入ってもらうために、としか考えていなかったけど、今のかっこいい私が受け入れられないならそんな彼氏はいらない、もっとそういうのいいね、かっこいいよと言ってくれる人を探す。

ということを、彼氏に本音で伝えてみた。結果、「俺は今くらいのかっこよさならぜんぜんいいと思うよ、もっといかついの目指すんかと思ってた。」という回答だった。かなり勇気を出して伝えたのだが、返答はなんだ、そんなものなのかというかんじだった。

だから、私はこれからはかっこいい女の子を目指し続ける。なりたい自分で生きていく。もしかしたらまた女の子らしい格好に戻りたい時が来るかもしれない。その時はその時で髪を伸ばして、可愛い服を着て、可愛い仕草をして、元に戻ればいい。
なりたい自分で生きる、きっと、それが幸せになる第一歩なのだと思う。