「先輩って、いつも笑顔で対応してますよね」
「看護師さん、いつも元気だね~」

これが私の見られ方。
元気はつらつ、初対面の人でも人見知りせず話しかけていき、同僚だろうがお客さん(一応お客?)だろうが打ち解ける、それが私。

ほんとの自分とは違う私を知った後輩は「そんな風に感じたことはない」と言った

そんな私はほんとの私と全然違う。
家で食べてサヨナラして、録画とスマホを交互に見て、月に1~2回大量に買った本を読み漁り、掃除と洗濯が好き。
たまにホットヨガに行く。
洋服とかコスメも見るけど、お金使いたくないや、で買わない。
これが見せない私。

後輩と雑談していたとき、自分が1年目のときはよく仕事中に泣いていたこと、あまりに病んだ顔だったため死ぬ説が流れたことを話した。後輩は驚いた顔をして、
「そんな風に感じたことがないです、大人な対応ができるってことですね。いつでも笑ってるから」。

そう言われて、ホッとした。見せたくない自分に気付かれていないんだ!って。

「とりあえず笑ってる」と言われ、表面しか知られていないことに苛立った

「しろの印象?…とりあえず笑ってる」
高校のとき隣の席の男子に言われた。アルバムでクラスメイトの印象を書きあう、みたいな状況だったと思う。
その男子とはクラスメイトの中で心を開いてる方で、いろんな話をした。ほんとの私は、ネガティブで、音楽と本が好きで、さみしがりや。そんなことも伝わっていると思ってたのに、表面しか見られてない…何も知らないくせに、と苛立った。

高校生のときの私と何が違うんだろう。

大人になるにつれて、見せられない部分が増えたから?
本当の自分を見せて、傷ついた経験があるから?
笑っておけば、みんなが近付いてくれるから?
好きな人に弱さを見せたらメンヘラ扱いされて。
実家で笑うことをせず、静かに過ごせば態度が悪いと怒られ。
「お前は気分屋で扱いづらい」と批判され。

それがいつでも笑って、たくさん話して、ハイテンションでいるだけで。

「入学式で話し掛けてくれて嬉しかった」と感謝され。
「一緒の勤務だとなんとかなる!って思えます」と慕われ。
私がピエロみたいに話し、手伝い、率先して家事をすることで、家族の空気が良くなる。
もはや武器だ。笑顔のしたに疲れた、そんなこと知らない、勝手にして、自分で考えて、もっとはやくできないの?
そんな黒々とした、ドロドロした思いをなんとか覆い隠す武器。

出会ってすぐに人の印象が決まるから。私なりの「見せ方」で生きていく

人は出会って5秒で印象を決めるという。笑顔の私を見せておけば、その印象を崩すことなく、その人と打ち解けることができる。飛び道具にもなっているだろう。

ほんとの私は見せられないままなのは、窮屈で苦しい。でも、もういい。誰かと本当にわかりあうことは、諦めたから。

家族の前でピエロみたいに振る舞うのは疲れる。でももう、あの人たちと一緒に暮らすことはない。長くても数日頑張れば良い、そう思いながら帰省していた。
現在は帰省できない口実ができたと喜んでいるくらいだ。

秘密が増え、人との結びつきを諦め、中身が変わっても、私の見せ方は変わらない。