ちょうど2年前の初夏、花を植えてみようと思った。特に理由はなかった。
強いて言えば、一人で暮らしているアパートがあまりにも殺風景で寂しかったからだ。どうせ花を飾るなら、種から育ててみよう、と興味本位で始めた。

花を育てるのは小学生以来だった。小学校では、あさがお、チューリップ、ホウセンカを育てたことがあった。見ていて元気になれそうな花を、と考えた私は、小さなヒマワリを選んだ。種をまいて数か月でかわいらしい黄色い花を咲かせてくれた。花のある生活はなんだか落ち着いていて、それでいてにぎやかだった。

自分の誕生花を調べてみた。「私を放っておいて」という花言葉のホウセンカだった

新型コロナウイルスのために私は一人暮らしをやめ、実家に戻った。実家で私が自由にできることは限られているので、花を育てることはできなくなってしまった。しかし、花への興味はずっと持ち続けていた。

そして最近「花言葉」の本を読む機会があった。その本によると、誕生日ごとに「誕生花」というものが決まっているらしい。私の誕生花も調べてみることにした。私の誕生花はホウセンカだった。花言葉は「私を放っておいて」。解説には「一度決めたことはあきらめず、粘り強い」と書いてあった。

私はとても驚いた。なぜなら、それは私の性格に当てはまっていたからだ。もしかしたら今回当てはまったのは、たまたまなのかもしれない。元来私は占いや相性診断などを信じない人間なだけに、余計にそう感じる。しかし、それでもホウセンカは私に合っている花のような気がする。赤く可憐なホウセンカの花に、こんなにも力強い言葉が込められていたとは、まったく想像もしなかった。

花言葉に背中を押してもらえた私は、自分の責任で決断できるようになった

私は、この言葉に背中を押してもらえた。今まで決断に迷っていたことを、自分の責任において決断できるようになった。「なった」というよりは「するようにした」という方が正しいのかもしれない。
まさか、誕生花との出会いが私の決断にまで影響するとは、一体だれが想像しただろうか。

それから私はホウセンカの花をよく見るようになった。赤くきれいなその花を見るたびに、その花と自分を重ね合わせている。ホウセンカの花を注意して見るようにしてみると、意外といろいろなところに咲いている。ホウセンカの花は私の鏡であり、支えてくれるパートナーなのだ。

「夢を実現できる可能性はとても高いでしょう」。小さな花は私に勇気を与えてくれた

「私を放っておいて」。この言葉は一見、人を突き放した冷たい言葉のように感じられる。しかし、本当の意味はそこではなく、強い自分を持っている、ということだと思う。人に左右されず、自分の意志で行動できる、ということはこれからの私の人生にプラスに働いてくれると私は信じている。

私はこれまで、人に敷かれたレールの上を歩んできた。もしかすると、それをやめるのは、今、このときなのかもしれない。
解説の最後には、こう書いてあった。「夢を実現できる可能性はとても高いでしょう」と。これからたくさん夢を持ち、そして実現させたい。

私に勇気を与えてくれたのは、美しく、小さな1つの花だった。