初めて女性であることで悔しい思いをした瞬間

ちょうど、会社の採用コース編成が変わった年に就活をした。会社は今まで男性ばかりだった部署に女性を増やそうと、新しいコースに積極的に女性を採用していた。採用担当のお姉さんとご縁があって入社を決めた面が強かったので特にこだわりはなく、勧められたコースを選んだ。
そんな背景は何となく知っていたので驚きはしなかったが、配属されたところは男性ばかりの部署だった。
配属部署で働き始めるちょっと前、1つ上の男の先輩が私と、一緒に配属になった同期の男の子を呼んで簡単に部署の人間関係的な話をしてくれた。
そして最後に、それぞれに一言ずつかけてくれた。
同期には確か、「男はこき使われるから頑張れよ」みたいなことを言ったと思う。

そして私にはこう言った。
「女の子はにこにこして、課の華になってくれればそれでいいから。」

返す言葉が見つからなかった。
可愛いものが大好きな私は、つくづく女性に生まれて良かったなぁと思っているタイプで、女子校で過ごした期間も長く、女性が男性に劣ってるなんて思ったことはなかった。だからこれが初めて、女性であることで悔しい思いをした瞬間だった気がする。
結局そのうち結婚して産休や育休を取るんだから、偉くはなれないんだから。そんな意図が含まれてるようにも感じた。

私は飾りじゃない、ちゃんと一戦力として役に立てる

先輩のことを見返したくて、同期とは遜色のないように一生懸命新しいことを覚えて頑張ったつもりだ。私は飾りじゃない、ちゃんと一戦力として役に立てるんだということを、認めさせたかった。

しかし先輩は、ほどなく会社を辞めてしまって、見返せないままになってしまった。
気が付けば上司も入れ替わり、同じ部署には毎年1人ずつ女の子の後輩が増えて、女性の上司も転勤してきて、女性が特別と言った雰囲気もなくなっていった。
それでも見返せないままになってしまった分、あの時の言葉は私の中で引っかかり続けている。

あの言葉を思い出させてくる標語がある。
多くの会社が唱えている、女性管理職比率目標3割といったような目標だ。
夫は男性の立場から「出世しやすくていいじゃん」なんて言ってくるけれど、私はどうしても嫌悪感を覚える。

あの人は実力じゃなくて、数合わせのために出世させてもらったお飾りだなんて言われたらたまったもんじゃない。その言葉が例え出世が遅れた男性社員の妬みだったとしても、管理職比率の目標は、本質的でないと感じてしまう。そして、その大元には男性優位の思考が見え隠れするように思えてならない。

産休や育休を経ても、時短勤務でも、優秀な人が出世できる仕組みを

国際女性デーの日の新聞に統計が載っていたけれど、共働き夫婦が増えてきたとはいえ、どうしても産休や育休を取ればキャリアが止まってしまうということもあり、労働人口も、正社員の割合も、圧倒的に女性の方が低い。

優秀でも時短勤務を理由に出世出来ないお母さんの先輩を見ていると結局社会は働かせやすい男性が出世しやすいように出来ているんだなと思ってしまう。

必要なのは女性の管理職比率ではなくて、産休や育休を経ても、時短勤務でも、優秀な人が出世できる仕組みだと思う。
目標なんて掲げなくても、男女問わず優秀な人材が、適正に評価され、出世出来る時代が早くきてくれることを切に願う。

その時に初めて、あの時の私の悔しさは晴れるかもしれない。産休や育休を挟んでも、その日までは仕事を続けていたい。