「女の子なんだから、意見出さない方がいいよ」4年前、大学3年生の夏に言われたこの言葉が、私は今でも忘れられない。

「男子学生が有利な生活」に疑問を抱いていた学生時代

私は、都内の法学部に進学が決まっていた。そこは、男子学生が全体の9割を占めていた。授業や所属していたゼミは、当然男子学生が多く、ゼミ対抗のスポーツ大会参加の可否など、何か決め事をする際は多数決で決め、男子学生が好むようなイベントの際は、女学生の意見が通ることは少なかった。また、就職活動に関しても「男子学生必須」といったような、男子学生にとって有利な案内が多かった。

当時の私は、一般的に男性と比べて女性は基礎体力がない部分を考慮すると、仕方ないのかもしれないと思いつつも、男子学生が有利な学生生活に疑問を抱いていた。

3・4年次、私は国際法研究に関するゼミに所属することになった。このゼミでも男子学生の割合が9割を占めていたが、勉強するのに男女の割合は関係ない。楽しみながら沢山の知識を色々な人から吸収していこう、と私は考えていた。

半年経った頃、法学部主催の研究発表会に参加することが決定した。その頃から他のゼミ生とも良く話すようになり、研究発表の内容や役割分担を決め、定期的に担当した分野をゼミ内で発表する機会が設けられた。

意見を述べるのに性別は関係なく、権利は誰にでもあるはずなのに…?

1回目のゼミ内での発表。1番最初に、ゼミ長でもあるA君が発表を始めた。A君はパワーポイントを作成してきたのだが、率直に言うととても見づらかった。発表を聞く観客からしたら、沢山の文字量、沢山の写真、初めて聞く人には難しい発表内容で、情報量が多い内容だと私自身考え、1つ意見を述べた。

「発表を聞く観客の為に文字は少なく、写真も大きくし、初心者でも分かりやすくもっと簡単な説明にしたらどうかな」と。すると、A君は小さく頷き、私の意見に同意はしてくれたものの、私に意見を言われてから明らかに不機嫌になり、私を見ながら隣の男子学生とひそひそ話をしていた。

その日の帰り道、私はA君に強く言いすぎたのか悩んでいた。そして、そんな雰囲気を察したのか、同じゼミの女学生B子が私に「今日、A君に意見をズバッと言ったのはダメだったね。男は女に意見を言われるのは好きじゃないし、イラっとする人が多いよ。女の子なんだから、意見言わない方がいいよ。男が言うことには頷いて持ち上げなきゃ。男心を分かってないね」と話した。

私は、何を言われたのか理解が出来なかった。意見を述べるのに性別は関係なく、権利は誰にでもあると私は考える。しかし、自分と同世代の女性で、自身の性別によって、男性に意見を言わない方がいいと考えている人がいることに驚いた。

また、同時に「どうして女に言われるとイラっとするの?」「どうして女は意見を述べてはいけないの?」と様々な疑問が私の中で出てきたが、驚きすぎて言葉が出なかった。私はB子にとっての“男性”への正しいと思う接し方を、どう考えても正しいとは思えなかった。

社会人になっても感じる「男尊女卑」。でも、それって間違いだと思う

社会人になった私は、現在男性が多い職場で働いている。男性社員が多いということもあり、女性は事務作業やサポートに回ることが多い。また、未だに男尊女卑の考えを持つ上司が沢山存在し、私のような若手の女子社員にとっては意見が言いづらい環境でもある。

私は時々B子を思い出し、考えてしまう。社会だと、B子の考えが合う会社が多いのではないかと。女性だから、男性のサポートをする。女性だから、意見を言わずにおとなしく頷いておくのがいい。女性だから……と性別によって行動を縛られるのは間違いだし、女性自身の行動に限度をかけてはいけないと私は考える。

私は、大学を卒業してから、B子とは一度も会っていない。今でも男性が言うことに対し頷き、良い女性を演じているのだろうか。