「○○ちゃんってアイドルになりたいの?笑」
小学2年生の終わり、そこまで仲良くなかったクラスメイトに、バカにされながら言われたこの言葉を今でも鮮明に覚えています。
その他に何かを言われたわけではありません。しかしこの言葉には「お前のような容姿のやつがアイドルなんてなれるわけないじゃん」という隠れた意味を持っていることを、小学生ながらに私は感じてしまいました。

元々自分の容姿に自信があったわけではなく、ただ歌って踊ることが好きなだけでした。
そのため、バカにした奴らを見返してやろうという気持ちにはなりませんでした。
とにかくバカにされたことが恥ずかしい、私みたいな奴が何を自惚れていたのだろうという気持ちでいっぱいでした。

周りからどう思われているのかが気になって仕方なかった

そしてその日から急に周りの目が気になるようになりました。
文集の将来の夢にアイドルになりたいと書いていたため、クラスメイトは全員私がアイドルになりたいことを知っています。ということはクラスメイト全員が私をバカにしているのだと思い込んでいました。
一度そう思うと周りからどう思われているのか、自分の見え方が気になって仕方なくなりました。

私はそれまで人前にでることは得意で、授業中も積極的に手を挙げて発言をするタイプで、男女関係なく自分から進んで話しかけていくような性格でした。
それが急に出来なくなっていきました。正直自分でもはっきりとした理由はわかりません。
ただ今までのように発表しようとしたり、話しかけたりしようとすると相手の表情が気になり、自分の存在が嫌がられている、バカにされているようなネガティブな気持ちになったのです。
それが怖くて人との関わりを避けるようになりました。

周りから尊敬されることが、大きな安心感に

内面が変わったことにつれて外見も変わっていきました。少しでも可愛くみられようとすると、あいつアイドルになりたいからだと思われると思い、好きだったスカートやフリフリの服はやめて、ジーパンにTシャツなど地味で目立たない格好をするようになりました。髪もぼさぼさで、清潔感のない感じだったと思います。
でもそうすることで、自分からアイドルのイメージを無くしていけると思ったのです。
その一方で私はアイドルになりたいという夢を諦めきれず、周りに隠れてこっそりとオーディションに応募し続けていました。
しかし、結果は全て書類落ち。1次にすら進めたことはありませんでした。こういったことが重なり、私はますます自信を失っていきました。

そうしているうちに高校3年生となり、自分の将来について考えなければならなくなりました。そこでもう一つの夢であった看護師を目指すようになりました。
アイドルになることをバカにされてから、私は将来の夢をきかれた時には看護師と答えるようにしていました。実際看護師への憧れももちろんありましたが、看護師になりたいと言うとバカにされることなく、むしろ周りから尊敬されるのです。それが私にとってはとても大きな安心感でした。
周りから認めてもらえているそんな気がしたのです。

もっと堂々としていれば良かった、周りより自分のために行動したかった

そんな私は看護師になりました。看護師になったことで自分に自信がついたからか、周りの目はほとんど気にならなくなっています。患者さんや職場の方々と良い関係を築けていると思います。

あの頃の私は夢をバカにされたショックから全てのことに疑心暗鬼になり、自分を信じることが出来なくなっていました。だからこそ周りから認めてもらえないと不安だったのです。
私は少し後悔しています。
もっと堂々としていれば良かった、周りより自分のために行動したかったと。
そうすればもっと楽しい学生時代を送れたのではないかと。

そんな時に長濵ねるさんのインスタのストーリーズでこのエッセイについて知り、この気持ちを文章にしてみたいと思いました。
この気持ちを文章にすることで私の苦悩が報われるのではないかと思います。
これを読むことで、私の見られ方が変わってしまうかもしれないという気持ちはありますが、同じような境遇にいる人に堂々と自信を持って夢を追ってほしいと思います。
そして、私の夢をバカにしたような人が少しでも減ってほしいと願います。