机を蹴り、声を荒げて同級生を激怒する先生への恐怖心。二人担任制になったなら
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私が理不尽な怒りを目撃して、恐怖心を覚えたのは、小学生の時。普段はとても面白い話をしてくれる先生が、忘れ物をよくする同級生に対して激怒したことがきっかけでした。
この先生は今思えば感情に波がある性格で、あまり気分がとヒステリックになるような先生でした。昨日は笑顔だったのに、次の日は少し不機嫌でということはいつものことでした。
男の子の中でも一番背が低く、私よりも目線が低かった同級生は、本当に毎日といっていいほど、忘れ物をしていたようで、教科書、ノート、給食袋などを持ってこない時が多々あり、先生から割り箸をもらったり、教科書を隣の同級生から見せてもらったりしていたと思います。
それが長く続いたことと、おそらく先生の機嫌があまり良くなかったのでしょう。
先生はついにこの忘れ物の多い同級生をすごい剣幕で怒り出したのでした。
机を蹴り、声を荒げて、彼のランドセルをすべて廊下に放り出し、
「一年生からやり直してこい!いままでなにを勉強してきたんだ!お前はこの教室にいる資格はない」
机が無理やり廊下に出されて、両脇についた鞄下げの金具が、先生に蹴られるたびにがちゃん、がちゃんと鳴り響き、同級生のその小さな男の子は、ただひたすらに先生の怒りの行動に耐えていたように思います。たった1分かもしれないし、10分、それ以上続いていたかもしれません。私は先生の怒りや、怒りに伴う行動が収まるまで、ずっと泣いていました。
彼がどんな顔をしていたか、どんな反応をしていたかは詳細には覚えていませんが、自分の周囲の生徒たちも、怒り狂う先生を見て、大なり小なりあれども恐怖心を抱いていたのだと思います。
私はこのことがきっかけとなり、大人の男性に恐怖心を抱きやすくなったように思います。怒らせてはいけない、怒られるのが怖い、という考えがずっと染みついているような気もします。
恐怖は、直接向けられている人だけでなく、その周囲にも大きな威力を発揮し、悪い影響を残します。人の能力を下げるものであり、トラウマを生じさせるものだと思います。
私個人の経験ではありますが、幼いころに受けた怒りや恐怖心はその人の人生に大きな影響を残します。また、彼が今なにをしているかはわかりませんが、怒りを直接受けた彼は相当なダメージを受けているのではないかということが想像できます。
もし、その教室にほかの視点を持った先生がいたら、彼は怒られずに済んだかもしれません。
怒った先生も、40人の生徒を一人で見ていて、うまくいかず、それが怒りとなって現れたのかもしれません。そこにもう一人別の先生がいれば、仕事が少なくなって、リラックスした状態で生徒と対峙することができるようになるかもしれません。
だから私は、子供たちが学ぶ環境をよくするために、二人担任制に変えたいと思っています。
一人で見られないところを、二人で協力して、支えて子供たちが学びやすい環境が作れる制度に変えられたらいいなと思います。
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