お金に困ったとき。生理用品に困らないためにと買った「布ナプキン」

収入がない。
その状態から、とりあえず働き口を見つけて買ったものが、布製の生理用ナプキンだった。
職が全くない時期、生理用品も節約できればと生理を忌々しく思っていた。
本当に細かいことでも、いや、生理なんて毎月お金がかかって、もしかしたらちょっとの工夫でなんとかなりそうなことは、できればなんとかしてしまいたかった。
お金に余裕ができた頃に布ナプキンの存在を知り、これはいいと購入した。またお金に困ることもあるかもしれないから、その時のために買っておきたかった。

収入ゼロの期間は数ヶ月だけで済んだ。当初からそのくらいの期間で収まるから貯金でなんとかなるとふんでいた。だからそこまで不安にならないはずだと思っていたが、想像していたよりは気持ちがふさいだ。

収入がある時期も、そのほとんどを税金で持って行かれた。実家に納めなければならないお金もあり、手元には毎月5000円くらいしか残らないことが続いた。
服も趣味のものも買えないし、友達と一回遊ぶだけでお金がなくなる。友達にはお金がないことを感じさせたくなくて、服は見慣れていないであろうものを選び、食事の注文もケチらないようにした。余計な心配をされるのも癪だった。今思えば、そんなことを気にする相手って本当に友達なんだろうか?と思う。お金がかからない付き合いはいくらでもあったはず。それをしようと思えない時点で、友達とは言えなかっただろう。

交遊費や趣味にお金を使わないことには慣れてきたけれど、最初はひもじさを覚えた。
「この1日で今月使えるお金の全てが消える」「今回は予想外にお金が出てしまったからマイナスだ」なんて思いながらも、やはりこういう付き合いがなくなったら生きていけないからとお金を使う。友達と一緒にいる時間は楽しいけれど、家に帰って財布をあけると、せっかくの明るい気分も消し飛んでしまった。

自由に使えるお金がある今。過去の「お金の使い方」を振り返る

自由に使えるお金が十分ある今、昔から使っている服も平気で着ている。たまの外食でも値段にそこまで左右されることはない。あの時は気持ちにも余裕がなく、余計な見栄を張ってしまっていたのかもしれない。これこそ無駄な出費だった。でも本当につらいし、ここは削れないと思い込んでいた。

当時は少しでも家に納める金額を抑えられないかと、家計簿をつけ、手洗い石鹸、シャンプーまで見直し、生活費を削って金額交渉をしようとした。しかし家に納めるお金はそもそもそこまで高額ではなかったため、交渉は断念した。生理用品も削れたら交渉の余地があるかもしれないと考えたが、そこまではできなかった。

その程度には余裕がある、かなり恵まれた立場の私でさえ「お金がないって、しんどいな〜」と思った。今はこの程度で何を言っていたんだろうと思う。考え方が変わったのだ。"自分の幸せ"を考えて過ごせば、これだけお金があれば十分生きていける。
今もそこまでお金を使っていない。慣れたし、工夫も覚えた。そして超消費主義はやはりおかしいと思うようになった。

もちろん、衣食住は確保されるべきだけど、お金に対する考えは変わった。
そして生理用ナプキンは、住に近いけど、少し違うもののような気がしている。

布ナプキンは洗えば何度も使える。
初期投資が必要なのでためらう人がいるのも分からなくはないが、外出時にちょっと荷物がかさばることに目をつぶれるのなら便利だと思う。
知人に勧めたら、自分の血液を洗いたくないからと却下されたけれど、個人的にはおすすめだ。

「生理の貧困」ナプキンを買わない選択をしたくなる気持ちが分かる

「生理貧困」という言葉を最近よく耳にする。
そりゃお金かかるもん。そこを削りたくなる。多少不快な思いはしても、ナプキンを買わない選択をしたくなるのはよくわかる。

紙ナプキンの無料配布はたしかに助かるだろうけれど、持続可能な支援かというと疑問が残る。
しばらく続くであろう貧困に、たまにもらえる紙ナプキンでは不安を拭い去れない。
次いつもらえるかわからないとなれば、結局ナプキンをケチって使うことに変わりはない。

それに、生理痛が重い人はナプキンだけでは生理の対策ができない。
そんな大きな変化があるわけではないけれど、水分を吸うと冷える紙ナプキンに比べたら、布ナプキンによる多少の生理痛軽減はあり得るかもしれない。
私一人の経験から言うことなので、どのくらいの人に効果があるかはわからないけれど、「お腹は冷やさない方がいい」という教えが本当なら、布ナプキンは多少体に優しい可能性はある。

本当に困っている人にとって布ナプキンは「手間」なんかじゃない

もちろんめんどくさいとか、手間だとかって意見もわかる。
わかるけど、多分本当に困っている人たちは、そんなことを言っている場合ではないくらいに追い詰められている。
だから布ナプキンや月経カップなんてもらっても、面倒で困るだけでしょ。なんていう意見には反対なのだ。ティッシュやタオルでしのぐよりは少なくとも数倍はよいからだ。
今困ってる人たちも、お金に余裕ができれば紙ナプキンを使うかもしれない。でもとりあえず、持続可能で安心できる支援として、布ナプキンを勧めたい。
それに、なんでもしてあげることは彼女たちのためにもならないと思うのだ。
彼女たちも自分たちでなんとかする力を持っている。それを信じて、適切な支援をすることが必要なんじゃないかと思えてならない。

生理用品の無償化を進める国もあるが、日本でただそれを待ってもいられない。
通常サイズ3枚を使い回すにしても、初期投資は2000~3000円ほどだ。作るには透湿防水布が必要だ。なかなか手に入らない人も多いかもしれないけれど、布ナプキンの存在がもっと知られたらいいのにと思う。