『あの子』がいたから、私は性格が悪かった。
自分の悪いところを他人のせいにするなと言われるかもしれない。
おっしゃるとおりだ。
おっしゃるとおりだけど、私はそんな自分のことが好きだった。
正反対の彼女と私。だけど、私たちは「愚痴」で仲良くなれた
あの子とは、小学校から高校の終わりまで、友人関係を持った。
背が小さくて、目がパッチリで、誰から見ても可愛いあの子。
ファッションも詳しくて、メイクもいつもきれいに。私とは正反対の子だった。
そんな私たちだったけど、ずっと仲が良かった。
小学校・中学校は一緒だったので、よく行動を共にしていた。
高校生になって学校がばらばらになったら、かえってもっと仲良くなった。
お互い学校の人には話せないことを言い合えるからだ。
特に、愚痴がすごく多かった。
同じ学校の友達の愚痴、親の愚痴、彼氏ができた中学の同級生の愚痴…。
本当に愚痴ばかりだった。
今思えば、本当に性格が悪かったと思う。
人をうらやんで嫉妬してばかりで、それを愚痴というエネルギーに変えていた。
でも、当時はそんな私が好きだった。
あの子と一緒に愚痴を言い合える。そんな状況が楽しくてたまらなかった。
志望校に落ちた彼女からの一言で、私の不満は爆発してしまった
でも、大学受験を機に、関係は一気に変わっていく。
あの子は受験に大失敗してしまった。
第一志望どころか、滑り止めもダメ。結局、一番志望度が低かった大学へ入学を決めていた。
浪人する元気はないからと、進学することにしたらしい。
正直。あの子の結果に当然じゃんと思っている自分がいた。
あの子はたしかに頑張ってはいたけど、すごく頑張ってはいなかった。
だから、そりゃあそうだろうと思ってしまっていた。
その態度が出てしまっていたのだろう。どこか皮肉な、どこか傲慢な態度を私はあの子に取っていたらしい。
そして、ある日言われた。
「そういうのは本当にやめてほしい」
私はその一言で、糸が切れてしまった。あの子へのかねてから思っていた不満を、全部ぶちまけた。
悪口を言える彼女と縁を切ったことで、私の性格は良くなった
少しわがままなところ、きまぐれなところ。
泣かせるまで言ってしまった。
その結果、私たちは絶縁した。
LINEをブロックして、連絡を一切取らなくなった。
家は近所だったけど、会うこともなくなった。
本当に最初は辛かった。
恋人との別れかってくらい、泣いたときもあった。
それくらい私にとっては大事な人だった。
でも、今。私はあの子なしで生きている。
悪口を言える相手がいなくなったことで、結果的に性格が良くなった。
愚痴を誰かに言うこともなくなったし、不満を思ってもぐっとこらえられるようになった。
恋をして、高校生の時はうらやんでいた存在の彼氏もできた。
あの子がいなくなって、好転したことも多くあるのだ。
でも、あの子はいないままだ。
一番仲の良かったあの子は、いないまま。
もしもあの子がいたら、今の私はどうなっていただろう。
あの子がいた方が良かったか、いない今の方が良かったか。
一生分からない問題に、私は今日も問い続ける。